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[ニュース分析]「次期政府、誰のための韓米同盟か見直すべき」

登録:2017-05-02 22:08 修正:2017-05-03 06:31
在韓米軍が今月2日、ヘリコプターでTHAAD(高高度防衛ミサイル)が配置された慶尚北道星州郡草田面の旧星州ゴルフ場に油類を輸送している。米軍は2日前にタンクローリー2台を星州ゴルフ場に搬入しようとしたが、住民が阻止して失敗した=星州/聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領の予測不可能な突出発言が続き、韓国の外交・安保の中心軸として作用した韓米同盟にも少なからぬ波紋が広がっている。このような「トランプ式政治」は単打で終わらない可能性がある上、いつでも政策化し得るため、「トランプリスク」という言葉まで出ている。「トランプリスク」はすぐ一週間後に次期政権が直面しなければならない現実だ。ややもすれば「リスク管理」レベルにとどまらず、韓米同盟を根本的に再調整しなければならない状況に直面する可能性もある。次期政府は韓米関係をどのように解決していくべきか。 ハンギョレは2日、専門家らに緊急診断を要請した。

 「トランプリスク」が端的に表れたのは、先月27日(現地時間)、トランプ大統領がロイター通信とのインタビューで韓国に「THAAD(高高度防衛ミサイル)1兆ウォン(約1000億円)の請求書」とともに、韓米自由貿易協定(FTA)廃棄または再交渉を要求してからだ。さらに、キム・グァンジン大統領府国家安保室長とハーバート・マクマスター米ホワイトハウス国家安保補佐官、国防部と大統領府・外交部がそれぞれ立場を明らかにし、同盟間の真実攻防の様相を帯びた。この過程で確認されたのは歴然とした両国の認識の差だった。

 ムン・ジョンイン延世大学名誉特任教授は、「米国はいま、THAAD配備は韓国を防衛するためであり、米国が韓国を守ってあげるのでその代価を払えと言っているが、これは事実上『用兵』の概念と変わらない」と話した。トランプ政権が打ち出した「THAAD費用請求書」は、韓米関係が従来のいわゆる「血盟」関係から「必要な保護を提供して費用をもらう」関係に衣替えしようとしている認識に基づいているという解釈が可能だ。ムン教授は「国民全体が韓米同盟の性格を根本からもう一度考え直さなければならない問題であることが分かった」とし、「韓米同盟は我々のための同盟なのか、米国の戦略的利益のための同盟なのか、検討が必要だ」と話した。

 李明博(イ・ミョンバク)政権で外交通商部朝鮮半島平和交渉本部長を務めたウィ・ソンラク元ロシア大使も、「同盟のさまざまなイシューにおいて、分節せず総体的に検討しなければならない」と指摘した。ウイ元大使は、トランプ政権を相手にした対米外交の方向について「相手が予測不可であり、しきりに立場を変えているため、我々が即自的な反応をするよりは、相手の流れを総体的に把握して対処したほうがいい」と話した。さらに、「いま政府はしきりに『THAAD費用は従来の合意通りにする』とし、我々が考えている方向に(問題を直視せず)避けているが、相手がすでにその合意を変えるという状況であるため、さまざまな可能性を考慮してどう対応するか研究しなければならない問題」だとし、現政府の対応を批判した。

 北朝鮮の核問題・北朝鮮問題も、次期政府の前に置かれた「トランプリスク」の一部だ。4月の「半島危機説」は「カールビンソン艦派遣」から始まったトランプ発の危機という言葉が出るほどだ。対北朝鮮強硬発言を続けていたトランプ大統領は1日(現地時間)ブルームバーグ通信とのインタビューでは「適切な状況になれば」北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長と会う用意があるという“びっくり発言”をした。

 チョン・ウクシク平和ネットワーク代表は「次期政府が韓米関係の中心的な問題を何に置くのか、フレームをちゃんと作るのが重要だ」と話した。チョン代表は「ブルームバーグ通信とのインタビューのように、米国の現職大統領が米朝首脳会談に強い意志を表明したのは初めてだと思われる」とし、「トランプの最優先関心事が北朝鮮の核とみられ、私たちには非常に重要なチャンスであるかも知れない」と付け加えた。彼は「THAAD問題の場合、トランプ政権に協議を通じてさまざまな問題提起をした後、時間をおいて再検討をしてみようと留保し、トランプが言った『対話条件』を作るために韓国政府も努力を尽くすと積極的に支持を表明してほしい」と話した。チョン代表は「韓米関係の接点を北朝鮮の核(問題解決に向けた)協力に合わせたほうが良い」と分析した。

 ウィ元大使もトランプ政権が「(北朝鮮と)交渉する可能性を常に開いている。トランプ政権は、北朝鮮の挑発のため圧力を強化しているが、すべては対話を狙ったものとみられる」と話した。同時に「北朝鮮も挑発をしているが、北朝鮮式で交渉を狙っているのであり、トランプはトランプ式の交渉の道を探している。接点があり得る」とし、次期政府が対応する準備をしなければならないと話した。

 一部では、韓米間の一連の事件が朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾から始まった「コリア・パッシング」の一環なので、次期政府が近日中にトランプ大統領に会うべきだとか、トランプが耳を傾けるような「非公式チャンネル」の確保が急務だと主張する。しかし、チョ・セヨン東西大学日本研究センター所長は「米国との接触を急ぐよりも、新政府が韓米関係を含めて対外戦略の基本ロードマップを作成した後、それに従って一糸乱れず動くべきだ」と助言した。チョ所長は「例えば、THAAD配備を再検討するには北朝鮮に対する抑止力はどうするのか、自主的に代案を用意するには国防改革までつながる国防財源調達の問題が生じ得るが、これは増税で解決するのか、それとも他の議題を少し先延ばししてその財源を前倒して使うのかなどを考慮する必要がある」とし、「対北朝鮮抑止力のために日本と安保協力を検討しなければならないのではないか、それならば少女像の問題はどうするのかなど、総合的な青写真が出てこそ対応することができる」と説明した。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/793226.html 韓国語原文入力:2017-05-02 20:20
訳M.C(2672字)

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