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[ニュース分析]根拠なき“朝鮮半島危機説”…南北緊張高揚が産んだ怪談

登録:2017-04-12 23:23 修正:2017-04-13 05:45
ゲッティ・イメージズ//ハンギョレ新聞社

 最近“朝鮮半島危機説”がSNSなどを通して広がり、韓国国民の不安心理を刺激している。政府当局が「事実無根」と鎮火に乗り出し、新聞・放送も「根拠がないガセニュース」と報道し、危機説は徐々に静まる雰囲気だ。しかしながら今回の事件を通じて朝鮮半島がどれほど安保イシューに敏感な地域であるかが改めて確認された。また、今月末まで韓米連合訓練が続く状況と相まって、いつでも再び危機説が力を得る余地も残っている。

 最近数日間、朝鮮半島危機説を増幅させたガセニュースは、米軍の北朝鮮爆撃説、米中の金正恩(キム・ジョンウン)亡命誘導説などだ。北朝鮮爆撃説は「米国が4月27日の新月に合わせてステルス機を送り北朝鮮を爆撃する」という内容を含んでいる。金正恩亡命説は「中国が北朝鮮に圧力を加え、金正恩の亡命を誘導する」という内容だ。これらのガセニュースは、北朝鮮爆撃とか金正恩亡命とか、米国と中国が最近のドナルド・トランプと習近平の首脳会談で合意したという内容を共通して含んでいる。最近の情勢を織り交ぜて事実であるかのようにもっともらしく包装したものだ。

北朝鮮爆撃説に金正恩亡命説まで
南北緊張の高揚にガセニュース続出
韓国政府「惑わされないように」鎮火に乗り出す

「一辺倒な対北朝鮮政策が危機説の背景
次期政府で平和の定着に真剣に取り組むべき」

 政府はこれらの危機説を積極的に否定している。外交部のチョ・ジュンヒョク報道官は11日、マスコミブリーフィングで「4月朝鮮半島危機説には根拠がない」と一蹴した。国防部のムン・サンギュン報道官もこの日「朝鮮半島安保状況の誇張された評価に惑わされないよう注意が必要だ」と注文した。政府関係者は「確認してみたが、トランプ政権が北朝鮮爆撃を専制的に行う計画はないと承知している」と話した。専門家たちも今回の北朝鮮爆撃説などを根拠のないガセニュースと見ている。軍事評論家のキム・ジョンデ正義党議員は「米国が韓国の同意なしに北朝鮮爆撃を敢行することはできない」と話した。キム議員はまた「1994年にも米国は当時7万人だった在韓アメリカ人の疎開が不可能なので北爆をあきらめた。今は在韓アメリカ人が13万人以上に増えた」と話した。

 それでも根拠のない危機説に韓国社会は敏感に反応した。これらの朝鮮半島危機説は、最近数日間のSNSを熱くし、ついには金融市場にも影響を及ぼした。防衛産業関連株は危機説が絶頂に達した10日に2.89%急騰し、翌日の11日の金融当局の不公正取引取り締まり方針に1.82%下落し反転した。

 米軍の北爆説は先月15日“ジャパンビズ”という日本のオンラインメディアが「米軍の北朝鮮攻撃は4月27日だろうか」というタイトルの文を載せて広がったという。これらの危機説は韓米連合フォールイーグル訓練が今月末まで続く状況で、北朝鮮では金日成(キム・イルソン)主席誕生日(15日)、人民軍創建日(25日)などの大型政治行事が続く点、最近の米中首脳会談で際だった朝鮮半島関連合意がなかった情況、トランプ大統領が突然シリア爆撃を指示したこと、オーストラリアに向かっていた米空母カールビンソン号が朝鮮半島側に航路を変えたことなどがかみ合わさって増幅されたと見られる。そのうえ、今年初めにスタートしたトランプ政権は「すべてのオプションはテーブルの上にある」として、対北朝鮮政策の不確実性を目一杯に引き上げた状態だったために、危機説の土壌は十分に整っていた。

 危機説はひとまず影を潜めたように見えるが、まだ朝鮮半島の緊張が高まる可能性は残っている。何よりも米空母カールビンソン号が今週末頃には朝鮮半島周辺海域に到着する予定だという。北朝鮮外務省の報道官は10日「米国が今回再びカールビンソン号原子力航空母艦打撃団を朝鮮半島水域に押しこんでいるのは、我が共和国に対する米国の無謀な侵略策動が厳重な実践段階に入ったことを示している」と強く反発した。米国と南北が今後どうするかなどにより朝鮮半島情勢は流動的だ。

 いずれにせよ、今回のことは韓国社会がこうした根拠のない怪談にどれほど脆弱かを改めて見せつけた。これはここ数年間、南北間の緊張高揚が続いており、軍事衝突の可能性が高まった朝鮮半島の安保環境を背景にしているという指摘が多い。実際、朝鮮半島危機説は過去にも何度かあった。しかし、危機説はいつも南北間の軍事的緊張が高まった状況で生まれている。慶南大極東問題研究所のキム・ドンヨプ教授は「今回の危機説の背景にも、対北朝鮮制裁と封鎖以外には他の代案も許さない政府の一辺倒な対北朝鮮政策がある」として「次期政府が今回のことを反面教師として、どのように朝鮮半島に平和を定着させるか熟考し対北朝鮮政策に反映することを期待する」と話した。

パク・ビョンス、ハン・クァンドク記者、ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/790285.html 韓国語原文入力:2017-04-11 22:07
訳J.S(2174字)

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