朴槿恵(パク・クネ)大統領が昨年9月「チェ・スンシル国政壟断事件」が浮き彫りになってから、ドイツに逃避したチェ氏と1日平均2回以上他人名義の携帯電話で通話した事実が15日、新たに明らかになった。パク・ヨンス特別検察官チームは、朴大統領がチェ氏と証拠隠滅のために口裏合わせをしたのではないかと疑っている。特検チームは、大統領府の家宅捜索令状の執行の適法性を問う裁判で、朴大統領が使用した他人名義の携帯電話を確保するために大統領府の家宅捜索が必要だと主張した。
特検のイ・ギュチョル代弁人は定例ブリーフィングで「チェ氏がドイツに出国した昨年9月3日から10月30日に帰国する前まで、大統領と他人名義の携帯電話で合わせて127回通話した事実を確認した」と明らかにした。チェ氏は自分と関連した様々な疑惑について、マスコミ取材が進められていた今年9月3日、ドイツに出国した。他人名義で開通した借名携帯電話(デポフォン)の使用は明白な違法だ。
特検は大統領とチェ氏が使用した借名携帯電話はいずれもユン・ジョンチュ行政官が開設して渡したものと把握している。朴大統領とチェ氏が使っていた借名携帯電話の開通時点は昨年4月で、同じだ。ユン行政官は先月5日、憲法裁判所の弾劾審判の弁論期日に証人として出席し、「朴大統領が借名携帯電話を使用するのを見たことがない」と述べており、偽証をめぐる議論が予想される。イ代弁人は「借名携帯電話の使用期間は昨年4月18日から10月26日までで、この期間、朴大統領とチェ氏は合わせて570回通話した」と明らかにした。これは1日平均3回の割合であり、朴大統領が大統領府首席と国務委員らの対面報告はほとんど受けなかったことからして、極めて異例のことだ。
特検はこれらの通話の時期に注目している。朴大統領は昨年10月24日「JTBC」が大統領の演説文などが保存されているチェ氏所有のタブレットPCの内容を報じたところ、翌日の午後4時、1回目の国民向け談話で謝罪した。当時、朴大統領は「チェ氏は過去、辛い時期にそばで支えてくれた縁で、一部の演説文や広報物の表現などを手伝ってもらったことはあるが、大統領府補佐システムが完備された後はやめた」と釈明した。しかし、朴大統領は国民に謝罪した翌日の10月26日までも、借名携帯電話でチェ氏と緊密に連絡を取り合っていた。特にチェ氏は同日午前に朴大統領と通話をした後、午後にも姪のチャン・シホ氏を通じて姉のチェ・スンドゥク氏が朴大統領とまた通話するように指示した。同日は、セヌリ党も「チェ・スンシル特検」の導入に合意するなど、状況が緊迫していた。
ソウル行政裁判所行政4部(裁判長キム・グクヒョン)の審理で開かれた「大統領府の家宅捜索・検証令状執行不承認処分の取り消し」執行停止の審問期日で、特検側の代理人であるキム・デヒョン弁護士は「朴大統領がチェ氏と通話するのに使った借名携帯電話が、間違いなく大統領府の敷地内にあると確信している。大統領府の家宅捜索が阻まれると、国政壟断事件の実体を明らかにするための捜査自体が極めて困難になる」と主張した。一方、大統領府側代理人のカン・ギョンク弁護士は「(朴大統領)対面調査など他の方法があるのにもかかわらず、あえて家宅捜索を行うのは見せつけるための捜査」と反論した。裁判所は、早ければ16日に執行停止の認容の可否を決めるものとみられる。