昨年7月、ソウル鍾路区(チョンノグ)三清洞(サムチョンドン)の金融研修院の向い側のある住宅。じりじりしながら周辺で待機していた大企業の総師が、自身の約束の時間より早く門内に入った。24日には、チョン・モング現代自動車会長、ソン・ギョンシクCJ会長、キム・チャングンSKスペックス追求協議会議長と、土曜日の25日にはサムスンのイ・ジェヨン副会長、ク・ボンムLG会長、キム・スンヨン韓火会長、チョ・ヤンホ韓進会長を呼んだのは朴槿恵(パク・クネ)大統領だった。朴大統領は、大統領府から内部通路を通じて直接移動できるこの「安家」に、財閥総師をひそかに呼んで単独面談し「文化・体育関連財団の設立を積極支援してほしい」と話す。
父親の朴正煕元大統領の時期に作られ「密室政治」と「政治献金」の象徴になった安家(安全家屋)が娘の朴槿恵(パク・クネ)大統領によって完ぺきに復活した。検察による捜査の結果、企業らから744億ウォン(約72億円)を強制募金して作られたというミル・Kスポーツ財団の出生地は、まさにここ大統領府近隣の「三清洞安家」だった。
朴大統領は弁護人を通じて「公開的に進行された公益事業」、「職務上指示」、「自発的支援」などと主張して、27日にも検察対面調査を拒否する立場を変えていない。だが、三清洞安家で朴大統領と財閥総師がひそかに交わした対話の内容と「闇取引」は、検察はもちろん、今後の特別検事と国会の国政調査団が最も関心を持つ部分だ。
安家を利用する理由は明確だ。「隠密」であるためだ。大統領府への出入りには詳細な記録が残る。視線が多く、誰が来て帰ったのかもすぐに噂が立つ。「公式的な面談」の場合、対話内容も録音される。検察は、昨年7月24日に大統領府で開かれた創造経済革新センター専門担当企業会長団の集いで、朴大統領と公開面談した財閥総師らが、直後に「安家非公開面談」をした背景について疑っている。朴大統領の主張どおり「正常な国政遂行」の一過程であるならば、あえて隠密な「安家単独面談政治」をする理由がどこにあるかということだ。
偶然ながらミル・Kスポーツ財団の「犯罪モデル」として挙げられる全斗煥(チョン・ドゥファン)政権の日海財団基金強制募金も三清洞安家でなされた。当時、寄付金受付は各企業の代表、または役員が自ら保証小切手を持って三清洞の安家を訪れる形だった。だが、朴大統領の弁護人は20日「歴代の政権でも企業の自発的参加と拠出で多くの恩恵を国民に与える公益事業を進めた」とし、その事例として日海財団を挙げた。検察の特別捜査本部は朴大統領の対面調査場所として三清洞安家も検討したというが、今後特検チームがこちらを対面調査場所に決める場合「現場検証」まで兼ねることになるのではないかという話が出ている。