朴槿恵(パク・クネ)大統領が自ら辞退することを拒否して「長期籠城」態勢に突入したことで、百家争鳴だった政局の解決策は「弾劾」という一点に収束するもようだ。弾劾手続きへの突入を躊躇していた共に民主党も、21日の議員総会で「弾劾推進」党論を全会一致で議決した。この日の議員総会では「弾劾可決ラインが確保されるまでは弾劾手続き突入は慎重にする必要がある」とした指導部の説得に対しても「迷う必要はない」、「直ちに着手するべき」という意見が相次いだ。
弾劾案発議には国会在籍議員の過半数(151人以上)の同意が必要だが、「与小野大」(与党よりも野党が多い)の状況を考えれば発議に無理はない。問題は本会議の可決ライン(在籍議員3分の2以上)を超えることができるかどうかだ。国会法上、弾劾案が発議されれば、国会本会議に報告された後24~72時間以内に表決しなければならない。ともすれば、発議要件のみを準備して急いで弾劾手続きに着手したものの、本会議で否決される最悪の状況も排除できない。そのため野党も弾劾案発議の時期をめぐって意見が交錯している。
この日の民主党議員総会では、弾劾の法的要件は満たされたので弾劾案発議をためらう理由はないという意見が多数だったが、指導部の考えは違った。「内部の力量と外部の条件が完璧に揃うまで待たなければならない」ということだ。国会内で弾劾案可決ラインである200人以上を確保し、「大統領即時辞任」を要求するキャンドル民心が国会の弾劾推進を不可避の選択として受け入れるまで、内外を説得する努力がさらに必要だということだ。
一方、「早期着手論」を主張する側は、朴大統領をチェ・スンシル国政壟断の「共犯」と摘示した検察の中間捜査結果発表により、法的要件が満たされた以上、大統領府とセヌリ党の親朴系(朴大統領支持派)が戦列を整える前に、街頭の市民の怒りが絶頂に向かって突き進んでいる時に弾劾手続きに突入するのが有利だという立場だ。国会内外では早期着手論が政界の多数の意見を占めていることを考慮すると、これまでで最大規模になると予想される今週末のキャンドル集会(26日)前後に弾劾手続きが本格化するという観測が多い。正義党のシム・サンジョン代表も19日、野党指導者8人会合で、「26日までに大統領の辞退がなければ、直ちに弾劾に突入するべき」という立場を明らかにしている。
弾劾案が本会議で可決されるためには、野党と無所属議員全員(171人)に加え、セヌリ党議員29人以上の賛成が必要だ。非朴系(非朴大統領派)を中心に構成されたセヌリ党非常時局委員会は20日、現役議員32人が「即時弾劾手続き着手」に賛成していると述べた。野党と無所属議員全員が弾劾案に賛成すると仮定した場合、本会議の可決に必要なセヌリ党議員数(29人)より3人多い。しかし、野党指導部はこの程度では弾劾案の可決を楽観できないという空気だ。民主党幹部は「国民の党から離脱票が出る可能性があり、弾劾に賛成するというセヌリ党議員32人に親朴系と大統領府がどんな脅迫をするかも分からない。安心してはならない」と述べた。国民の党のパク・チウォン非常対策委員長は「最初から弾劾案議決の定数をはるかに超える200人以上の署名を集め(発議を)推進すべきだ」と話した。
弾劾案が可決されれば、大統領の職務が停止され、国会法制司法委員長が弾劾訴追委員を務め、憲法裁判所が進める弾劾審判で起訴検事の役割をすることになる。野党ではセヌリ党所属のクォン・ソンドン法司委員長が検察出身で保守性向が強いという点を懸念する声もある。しかしクォン委員長はこの日ハンギョレとの電話インタビューで「国会で多数の議員が(弾劾案を)議決すれば、国会法の手続きを遵守する。国会法を検討して(常任委レベルの独自調査など)必要な手続きをきちんと履行する」と話した。クォン委員長は前日、弾劾推進に賛成する立場を明らかにしている。