朴槿恵(パク・クネ)大統領がハンナラ党議員だった2010年、不法な幹細胞施術を受けたという疑惑が提起された。これに先立って朴大統領が前チャウム医院の医師であり大統領の諮問医師であるキム・サンマン氏から各種の栄養注射や胎盤注射を定期的に受けていたという事実が確認されたことがある。朴大統領が各種の注射や施術をしばしば受ける理由に関心が集まっている。
19日、SBSの時事プログラム『それが知りたい』は、内部情報提供者の主張を基に「チェ・スンシル氏の紹介で2010年に朴槿恵大統領が幹細胞治療を受けたことがある」という疑惑を提起した。朴大統領が当時幹細胞施術を受けたとすれば、アレネルバイオ社が製造した無許可幹細胞治療剤である可能性が大きい。保健福祉部は2011年1月、アレネルバイオ社が無許可幹細胞治療剤を製造販売した事実を摘発し、業務停止処分を下して検察に捜査を依頼したことがある。
当時福祉部が確認した結果によれば、アレネルバイオ社は2007~2010年にかけて約8000人の患者からそれぞれ幹細胞を採取し、これを培養して幹細胞治療剤を製造し、この治療剤を5カ所の病院・医院を通じて患者に注射させた。費用は患者1人当り1000万~3000万ウォン(当時のレートで80~240万円)程度だった。この会社は以後も名前だけ変えて同じ不法施術を行い、2014年にも摘発され薬事法違反の疑いで業務停止6カ月の処分を受けた。
アレネルバイオ社が作った幹細胞治療剤は、私たちの身体の脂肪から「成体幹細胞」を抽出し、これを実験室で培養してその数を大幅に増やして作ったものだ。成体幹細胞はファン・ウソク前ソウル大教授や、最近では車(チャ)病院グループが研究している」胚芽幹細胞」とは異なり、私たちの身体にある幹細胞から、胚芽幹細胞ほどではないが各種の細胞に分化することができる。
現在でもこの成体幹細胞を抽出し、単純に冷凍保管した後に再び溶かして注射することは合法的施術だ。しかし、アレネルバイオ社の施術は成体幹細胞を培養した後に施術するもので、安全性・有効性の問題から許可を受けられていないため不法だ。だが、同社は「幹細胞が皮膚、筋肉、脂肪細胞に分化できるので、この治療を受ければ若返ることができ、特に女性の場合は皮膚美容に良い」と主張して顧客を呼び集めた。特にアレネルバイオ社が摘発された当時、市中には多くの有力政治家や企業家がこの会社の顧客になっているという話が出回った。『それが知りたい』は、アレネルバイオ社がこの施術を合法化するためのロビー目的で、有力政治家に無料で施術を提供したと報道した。そのうちの1人が朴槿恵大統領だったことになる。
ある皮膚科専門医は「朴大統領が2006年、カッターテロで顔に傷を負った後、顔皮膚美容に過度に関心が高くなったのではないかと思う」として「公式説明では慢性疲労のために疲労回復のための栄養注射を受けたと言うが、実際は顔皮膚のために各種の栄養注射、胎盤注射、さらには無許可の幹細胞施術まで受けていたのではないか」と話した。胎盤注射、幹細胞施術、栄養注射の中にも別名白玉注射(グルタチオン)、シンデレラ注射(アルファリポ酸)などは、皮膚の美容に効果があると女性に知られている。
反面、朴大統領の行動は、美容に関心が高い高所得層中年女性たちとあまり変わらないという意見もある。ソウル江南(カンナム)のある整形外科専門医は「整形手術、ボトックス治療、皮膚美容治療などは概して身のまわりで「良い」といううわさを聞いた中年女性たちが、友人と共に来るケースが多い」として「彼女たちの間での評判が病院の収益を決めるという話が出るほど」と話した。朴大統領もチェ・スンシル氏が受けた施術をチェ氏の勧めで習慣的に受けた可能性があるということだ。