金秉準(キム・ビョンジュン)首相候補者が3日、「憲法が規定する首相としての権限を100%行使する」として、「(朴槿恵<パク・クネ>大統領に)経済・社会政策は私に任せてほしいと言った」と明らかにした。外交・安保を除いた内政を担当する「責任首相」を自任しているわけだが、朴大統領が明示的に金候補者に権限を委譲していない状態では「独りよがりの責任首相」に過ぎないという指摘もある。たとえ朴大統領が権限移譲を公式化したとしても、野党は「国会を無視した奇襲的な内閣改造」として、首相候補者の内定そのものに反発しており、首相承認案の国会通過は依然として不透明である。
金候補者は同日、ソウル通義洞(トンウィドン)の金融監督院研修院で記者懇談会を開き、「先週の土曜日(10月29日)、朴大統領と会って十分な時間、対話を交わした。経済・社会政策の部分は詳しい領域だから、私に任せてほしいと伝えた」と述べた。さらに、「朴大統領もこれに同意したと思う」と付け加えた。首相の権限範囲に関する質問に、金候補者は「憲法が規定する首相の権限はとても簡明だ。大統領の指示を受け国政を統轄し、閣僚任命提請権と解任建議権を行使すること」だとしたうえで、「私は国政統轄の意味を経済・社会政策全般にわたり首相の指揮権を行使することだと幅広く解釈している」と強調した。自分が国政の主導権を握っていく考えを明確にしたのだ。金候補者はまた、「内閣改造を含めたすべてのことを国会および与野党と協議していく」としたうえで、「その過程で完全ではないかもしれないが、挙国中立内閣が構成されるだろう」と強調した。
しかし、首相の権限と役割の範囲をめぐって、大統領府内部でも混乱が生じている。同日、国会予算決算特別委員会に出席したチョン・ジンチョル大統領府人事首席秘書官は、「責任首相」の権限を問う質問に「マスコミに報道されているように、『内政は首相、外政は大統領』という区分は現行憲法では可能ではないと思う」と言い切った。前日、匿名を要請した大統領府関係者が「朴大統領が第一線を退き、金候補者が責任首相の役割を果たすことになるだろう」とマスコミに話したことへの反論である。チョン首席秘書官はさらに、「大統領と新しく任命される首相とが、対話や役割分担を通じて区分されると考えている。状況の重大さを考えると、新しく任命される首相がかなりの部分において内閣を実質的に運営できる程度に(区分が)行われるのではないかというのが私の推測」と答弁した。
憲法上、大統領に権限が集中しており、首相の役割は極めて制限されている現行体制で、責任首相制は法的に保障されるものではなく、大統領が首相に権限をどれだけ実質的に付与するかに左右される。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権でイ・ヘチャン首相が責任首相または実力者首相と呼ばれたのは、盧武鉉大統領が国務会議を主宰する機会や政策決定の権限などを首相に幅広く委任するという宣言と行動で、(イ首相を)支えてきたからだ。朴大統領が国政運営方向に対する明確な方針や政策基調の転換などを表明していない状況で、金候補者が「首相の権限」を強調しても空しく聞こえるのも、そのためだ。
野党は依然として頑なな態度で金候補者に対する人事聴聞手続きを拒否する意思を表明している。共に民主党のウ・サンホ院内代表は「野党3党が人となりや資格、主張とは関係なく、承認を拒否することで合意した状況だ」とし、「金候補者が何を言おうが、野党の立場は変わらない」と述べた。朴智元(パク・チウォン)国民の党非常対策委員長兼院内代表も記者団に「我々が言っているのは、大統領が与野党3党の代表と協議もせず、離党もしないまま、首相を内定したことに対する拒否権だ」と強調した。