朴槿恵(パク・クネ)大統領の口からついに「チェ・スンシル」という名前が出た。
2014年末に起きた「大統領府文書流出事件」当時から最近のミル・Kスポーツ財団疑惑がふくらむまで、報道機関や政界内外では一貫して朴大統領の「40年来の親友」(懇意な友達)チェ氏の存在に注目してきた。だが、朴大統領と大統領府は今までただの一度も公式にチェ氏について言及したことがない程、徹底的に彼女の存在と役割に口を閉ざしてきた。イ・ウォンジョン大統領秘書室長が今月21日に国会運営委員会国政監査で朴大統領とチェ氏の親密な縁を訊かれて「知ってはいるが親しい間柄ではない。大統領府の職員が事実関係を調査したが、親しく過ごした関係ではないとのこと」と答えたのが唯一だ。
イ室長の話はわずか四日後に嘘だったことが判明した。チェ氏が国政に深く介入していたという動かしがたい証拠が出てくると、怒れる民心が沸き立って、朴大統領は25日イ室長とは異なる説明をした。
「チェ・スンシルさんは、かつて私が困難に陥った時に助けてくれた縁で、先の大統領選挙で主に演説や広報の分野で私の選挙運動が国民にどのように伝わったかについて個人的な意見や所感を伝えてくれる役割をしました。一部の演説文や広報物も同じ脈絡で表現などで助けを受けたことがあります。就任後にも一定期間は一部の資料に対して意見を聴きました」。
大統領選挙の時に演説と広報を助けてもらい、執権以後も大統領演説文や広報資料に接しさせた「親友」だということを朴大統領自身が認めたのだ。一部では「誰も親友と一緒に国政運営をしはしない」として、チェ氏は朴大統領にとって友人以上の重さを占める人物だという評価も出ている。しかも朴大統領はチェ氏がその過程でどのように国政に介入し、どんな不法や専横を振るったかは説明もしなかった。朴大統領が国民の要求どおりにチェ氏をめぐる疑惑を透明に明らかにできるか、疑問に感じる内容だ。
「門番3人衆は生皮で、チェ・スンシルは五臓六腑だ。生皮は出血してもえぐり取れるが、五臓六腑は命がかかっている」。2014年大統領府文書流出事件当時、ある大統領府関係者がしたと言われる発言だ。当時はなじみがうすかったこうした評価が、次第に真実に迫ったものであることが確認されているわけだ。