「日韓合意を誠実に履行するために努力することで意見が一致した」
日本の岸田文雄外相は25日(現地時間)午前、ラオスのビエンチャン国立コンベンションセンターで韓国のユン・ビョンセ外相と40分余りの会談を終えた後、韓国の記者団にこうに述べた。昨年12月28日の韓日政府による日本軍「慰安婦」被害者問題関連合意(12・28合意)の「誠実な履行」で同意したという意味だ。韓国外交部も会談後に報道資料を通じて「両外相は合意の忠実な履行のため継続して協力していくことにした」と発表した。
ユン外相と岸田外相の会談は、12・28合意発表以後7カ月ぶりになる。韓日両国間で12・28合意を巡る異見論議が絶えないなか、両外相が直接「合意の誠実な履行努力」に同意したことが重要だ。これは韓国政府が12・28合意で明らかにした「慰安婦被害者の方々の名誉と尊厳回復、心の傷の治癒」のための「和解・癒やし財団」発足式を、キム・ボクトンさんやイ・ヨンスさんなど被害者ハルモニ(おばあさん)や韓国挺身隊問題対策協議会などの激しい反対にもかかわらず28日に押し切る予定という状況で出た韓日政府の「共同メッセージ」だ。
ところが、会談後の両国政府の説明を比べると、「意見一致」とは言えない部分が目につく。第一に、韓国政府が「和解・癒やし財団」を発足させれば、日本が政府の予算から一括拠出することにした10億円提供のタイミングだ。第二は、日本政府が10億円拠出と駐韓日本大使館前の「平和の少女像」の撤去・移転問題を分離するのか、あるいは時差があっても事実上連係させるかだ。
韓国外交部は「和解・癒やし財団」発足直後、早期に日本政府が10億円を拠出することを期待している。一方、日本外務省の当局者は会談後に日本の記者団に「両国間に金銭(10億円)を出した後の業務と関連して、まだ調整することが残っているため(10億円)拠出のタイミングは決まっていない」と説明した。これと関連して韓国外交部は「両外相は財団の早急なスタートと円滑な事業実施のために両国局長級協議などを通して緊密に協力することにした」と明らかにした反面、日本外務省当局者は「局長級(協議)については日程は決まっていない」と不明瞭な反応を示した。日本側の10億円早期拠出を望む韓国と、その前に主導権争いをしようとする日本との間に温度差がある。
こうした両国政府の異なる態度は、12・28合意の隠れたアキレス腱と言える「少女像」問題と無関係ではないように思える。韓国外交部当局者は「会談では少女像問題についても言及されたか」と問われ「全くなかった」と明確に否定した。ところが、日本の外務省当局者は、日本の記者団による同じ問いに「もちろん日韓合意の誠実で確実な履行が必要だということは繰り返し申し上げた」と曖昧に答えた。日本側が「少女像」という単語を明示的に言及しなくとも、事実上、12・28合意の持続的履行には「少女像の撤去」が必要だというメッセージは投じたと見て取れる。「少女像」問題と関連した世論が、両国社会で正反対に交錯している状況で、どちらの政府が会談の実状と異なる説明をしたのか、時間が経過すれば明らかになる問題だ。