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社会的地位で変わる拘置所の釈放時間

登録:2016-05-12 23:09 修正:2016-05-13 07:29
金属労組キリュン電子分会のユ・フンヒ分会長(中)が12日午前、京畿道儀旺市のソウル拘置所を出て、キム・ソヨン前分会長(右端)と人権運動サランバンの活動家ミョンスク氏(左端)など同僚の歓迎を受けている=儀旺/イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

拘置所別の時間基準は不明、恣意的
SK会長・抱川市長は0時5分釈放
キリュン分会長は5時過ぎて解放
「刑満了時“遅滞なく”釈放が必要」

 12日午前5時、ソウル拘置所。罰金刑の宣告に抗議して14日間労役に服した金属労組キリュン電子分会のユ・フンヒ分会長が釈放された。 ユ分会長は正社員転換の合意を破って夜中に逃走したチェ・ドンヨル代表理事の自宅玄関のチャイムを押して「住居侵入罪」で罰金刑を宣告されたが、「不当な判決」に抗議する意で先月29日に労役に服した。 この日午前0時をもって14日間の労役期間が終わったが、ソウル拘置所はユ分会長を午前5時になって解放した。

 大韓民国で刑期を終えた受刑者の釈放時間は「ゴムひも」だ。

 昨年8月、光復節の特別赦免で釈放されたSKグループのチェ・テウォン会長と、セクハラ疑惑で服役していたソ・ジャンウォン京畿道抱川(ポチョン)市長は、同じ0時5分に議政府(ウィジョンブ)刑務所から「即刻釈放」された。 反面、「統合進歩党イ・ソクキ内乱陰謀」事件で内乱扇動容疑で懲役2年を服役したハン・ドングン元水原(スウォン)医療福祉社会的協同組合理事長は、この日のユ分会長と同じく昨年9月に大田(テジョン)刑務所から午前5時になって釈放された。 財閥や政治家のように力のある人々は「即刻釈放」させながら、労働者など力のない人は「のろま釈放」をして、不必要に受刑時間を増やしているという指摘が出る理由だ。

 金属労組キリュン電子分会と「非正規雇用のない世の中作り」は「法的に刑期が終了する日の午前0時から出所できるのを無視して、5時間以上も拘置所にいさせるのは人権侵害」と指摘した。 これに抗議する意味で、11日午後9時からソウル拘置所前では「フンヒ(喜び)あふれる文化祭」を開きユ分会長の即刻釈放を促した。 ユ分会長の弁護を務めた公益人権法財団「共感」のユン・ジヨン弁護士は「力のある人は早く送り出し、そうでない人はのろま釈放するなど、拘置所別に釈放時間の基準が不明で恣意的」とし「深夜12時を超えれば直ぐにも送り出せる時間を法的に明示する必要がある」と話した。

 刑法86条には「釈放は刑期終了日に行わなければならない」と明示されているが、具体的な時間は明文化されていない。 ソウル拘置所は「2015年3月の法務部指針に従い午前5時の釈放が規定」としつつも「夜間であれば交通の便も不足して女性や老弱者は犯罪の標的になることが憂慮されるなどの問題が提起され、釈放時間を遅らせることになった」と説明した。 その一方で「拘置所ごとに出所時間は異なることもある」と話した。

 「ゴムひも釈放時間」の問題点を改善するために昨年、国民の党のパク・チウォン議員は「刑の執行および収容者の処遇に関する法律一部改正法律案」を代表発議したことがある。 この法案は現行法第124条の各条項に「直ちに」を入れて刑期満了時に直ちに釈放することを明文化する内容を含んでいる。 パク議員は「法務部は刑務所側の便宜のために刑期を終えた受刑者を解放せずにいるが、受刑者の人権を改善する方向で釈放時間を明確に統一する法案を第20代国会で通過させられるよう努力する」と話した。

キム・ミヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/743625.html 韓国語原文入力:2016-05-12 19:41
訳J.S(1641字)

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