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[インタビュー]独占的な資本社会に韓国の学閥もお手上げ

登録:2016-04-29 08:04 修正:2016-04-30 10:16
「学歴のない社会」のイ・チョルホ元代表
26日、ソウル龍山区の喫茶店で会った「学歴のない社会」のイ・チョルホ元代表=キム・ミヒャン記者//ハンギョレ新聞社

18年ぶりに解散する「学歴のない社会」
「20代を見ていて資本社会を痛感」

親の力なしに学閥すら持てない
個人の努力で格差は埋まらない

 「18年間の奮闘にもかかわらず、『学歴のない社会』は団体としての活動を中断する。学閥社会が解体されたためではなく、様相そのものが変わったからだ。学閥はすでに権力獲得の主要な要素として作動していない」

 1998年に発足し、大学平準化、ソウル大学解体などの問題を提起し、教育に関する韓国社会の認識に大きな影響を及ぼしてきた「学歴のない社会」が、先月25日の最後の総会で出した解散宣言文の一部だ。宣言文は「労働自体が解体されていく不安は、同じ学閥であっても、後押ししたり呼び寄せたりする美しい(?)風習さえ消滅させた。(中略)資本の独占がより支配的な2016年の今、学閥は権力を保障するどころか、学閥すらが失敗するようになった。学閥と権力の結びつきが弱まったため、学閥があっても人生の安定を維持できない」と“理由ある退場”について説明した。

 同団体の解散は階層移動の可能性が一段と弱まり、出身階層により人生が世襲される社会が到来したことを象徴する事件と解釈される。昨年、「○○大出て何になる。失業者なんですけど…」という名門大学卒業生の横断幕が登場したように、「高学歴=階層上昇」という公式は力を失っている。学歴のない社会の代表だったホン・セファ氏は「学閥による既得権構造は依然としてあるけど、それより資本の威力があまりにも強力」と指摘し、「これは親の力なしに学閥を得るのも難しいし、得たとしても自分の努力で親の格差を埋めることはできないほどになったという認識」と語る。

 長年の激論の末、同団体のイ・チョルホ元代表(54)と会員300人余りは“自発的解体”を選択し、昨年秋から解散の準備に入った。残る運営費を0ウォンにするため、昨年末から会費も集めなかった。最後の総会を機に代表電話もなくした。1人の常勤者も雇用を失った。

 26日に会ったイ元代表は「団体の20代の姿を見ていて、韓国はもう学歴社会ではなく資本社会であることを肌で感じた」と指摘したうえで、こう続ける。「90年代には学閥ピラミッドの中枢にいる大学の在学生が私たちの団体に入ってきて、学閥を打破しようとして活動した。ところが最近、10人余りになった大学生たちは、会合を組織しても3週間以上続かない。コンビニのバイトに行ったり、授業料ローンの返済に働きに行きながら、単位の管理をしなくてはならない。それは彼らのせいではない」と現実を説明した。

 宣言文は学歴社会の頂点とされるソウル大学の学生たちの間でも話題になった。24日、ソウル大学のオンラインコミュニティ「スヌライフ」に同団体の解散宣言文の一部が掲載され、当日の最高クリック件数、推薦数289件(28日基準)を記録した。書き込みをしたソウル大学の学生(忘れて**)は「要約:SKY(ソウル大、高麗大、延世大)を出ても生まれながらの格差があるので、哀れで非難しようがない。非難すべきは学縁、地縁、血縁ではなく資本」という注釈をつけた。

 文章の最後に「社会的地位を上下する梯子の行く着く先を見るようで、怖いし虚脱感におそわれる。学閥の梯子はすでに資本によって崩壊した」(エクン**)、「これほどぞっとする思いでこの国が壊れていると感じるは初めてだ」(暖かい**)などのコメントが寄せられた。

 発足初期に運営委員・事務処長などを務めたキム・サンボン全南大哲学科教授は「ある意味で一つの時代が呑み込まれたと見れる」、「大学制度自体に対する根本的質問が必要な時期」と話した。

キム・ミヒャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-04-28 22:23

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/741676.html?_fr=mt1 訳Y.B