教育部が、国定教科書に反対する時局宣言をした全国教職員労働組合(全教組)所属の教師を懲戒しない、革新・中道性向の教育監(教育委員会委員長に相当)14人を、職務遺棄で刑事告発した。大法院(最高裁判所)の判例などからして、職務遺棄の疑いは認められないとするのが大方の分析だ。
教育部は3日、大邱(テグ)、慶尚北道、蔚山(ウルサン)を除いた全国14の教育庁の教育監を2日に職務遺棄の疑いで、最高検察庁に告発したと明らかにした。教育部は昨年10月、全教組の歴史教科書国定化に反対する第1次時局宣言と関連し、昨年11月と12月に続き、先月5日、各教育庁に、参加、教師を懲戒するための日程と計画案を提出するように公文書を送った。 17の市道教育庁のうち、保守性向の教育監が選ばれた地域3カ所だけが懲戒意思を明らかにしており、残りの教育庁は「検察の捜査結果後」「検討中」「懲戒事由はない」などの立場を明らかにした。
教育部は、全国教職員労働組合(全教組)の時局宣言が、教育の中立性などを規定した教育基本法第6条などに違反したと見ている。ただし、教員の人事権を教育監が持っているため、直接懲戒できず、教育監に2度に渡って(懲戒)職務履行命令を下した状態だ。
それらの教育庁は、この時局宣言を政治的な中立違反と見るのは難しいという判断だ。ソウル市教育庁の関係者は、「国定化は教育懸案であり、教師がこれに反対するのは、政治的参加というよりは、教師であると同時に市民としての一般的な表現の自由にあたる」とし「国定化に賛成したり、反対した他の教師団体もあるのに、全教組宣言参加者だけを懲戒するのも公平性に反する」と述べた。
大法院の判例上、時局宣言に参加した教師を懲戒していないことを教育監の職務遺棄とするのは、無理という指摘もある。大法院は、「刑法第122条の職務遺棄罪で『職務を遺棄したとき』とは、公務員が仕事の無断離脱、職務の意識的な放棄などのように、国の機能を阻害し、国民に被害をもたらす可能性がある場合を指す」と判示した。このため、2009年に時局宣言した教師の懲戒を留保し、職務遺棄で告発された当時のキム・サンゴン京畿道教育監も、2013年に大法院で無罪確定の判決を受けた。
教育部の関係者は、「教育監が法と原則に従わない状況で、教育部は可能な行政手段の一つとして、検察告発を使わざるを得ない」と述べた。
韓国語原文入力: 2016-03-03 15:13