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韓国のTHAAD配備で韓米日MD統合 北東アジアは軍拡の荒波に

登録:2016-02-02 01:07 修正:2016-02-02 06:52
日本の弾道ミサイル防衛(BMD)整備構想・運用構想 (資料:2015年日本国防白書)//ハンギョレ新聞社

日本型MD、最大1兆円投入 
イージス艦、パトリオット砲台など 
米国に匹敵する監視、迎撃システム構築 
韓国型MD、THAAD配備圧迫の中 
日本よりも多くの費用が予想される

米日、10年前から情報共有 
韓国、結合されると「韓米日MD同盟」

 先月28日午後8時半。暗闇に包まれた東京・市ヶ谷の防衛省敷地内に、巨大な国防色のトラックが次々と入る様子が観察された。敵の弾道ミサイルを地上15〜40キロメートルの高さの最終段階で迎撃する自衛隊のパトリオット(PAC)3ミサイル発射装置を搭載した車両だった。NHK放送は同日夜9時のニュースで防衛省運動場に発射装置を設置する自衛隊員の姿を全国に中継した。

 日本のこのようなミサイル防衛(MD)能力は、米国に次いで世界で二番目に強力なものであると評価される。特に、米国が20年以上前から「中国牽制」という共通の利害関係に基づいて、日本のMD能力の強化に乗り出している。現在両国は、日本で情報収集から指揮、迎撃まで事実上MDを統合運営する段階にまで進んだ。

 今年中に韓国も韓米で別々に運用されているMDシステムを米軍のデータ交換ネットワーク「リンク16」を通じて連結と連動を行うことにしており、日米が主導してきたMDに参加することが事実上決まった状況だ。米日MD統合の様子を検討することは、韓国MDの未来の予測において多くを示唆している。

自衛隊の航空警戒管制部隊(レーダーサイト)の配置資料 (資料:2015年日本国防白書)//ハンギョレ新聞社

 日本が本格的に米国のMDシステムに興味を示し始めたのは、米国のクリントン政権時代だった1995年の「日米弾道ミサイル防衛の共同研究」の時からだ。日本国内の検討作業に拍車をかけたのは、1998年8月に行われた北朝鮮のテポドン1号の発射だった。続いて2003年12月、小泉純一郎内閣は上層防衛にはイージス艦のSM3ミサイルを、下層防衛にはパトリオット3ミサイルを使用するという、日本型MDの基本枠組みを確定した。

 MDシステムは、大きく分けて3つの要素で構成される。一つ目は、敵の弾道ミサイルを探知し、追跡する目に該当するレーダーであり、二つ目は、関連情報を分析し、迎撃指示を下す脳機能を果たす作戦統制所、三つ目は、実際に攻撃してくる敵の弾道ミサイルを打撃する迎撃体だ。

 現在、日本には、京都の経ヶ岬などに日本が独自に開発したFPS3レーダー7基が、新潟県佐渡市などにこれよりも性能が強化されたFPS5レーダー4基が配備されている。また、こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかいなど4隻のイージス艦に敵の弾道ミサイルを150キロメートル以上の上層で迎撃するSM3ミサイルシステムが搭載されており、2隻のイージス艦(BMD型)が追加で建造されている。下層防衛のためには、東京、大阪、福岡などの大都市周辺に16基(予備砲台2つを合わせると、合計18基)のパトリオット3の砲台を配備している。この監視・迎撃装置は、航空自衛隊の自動警戒管制システム(JADGE)を通じて統合管理される。

 両国のMD戦力は、リンク16を通じて繋がっている。これを可能にした最初の一歩は、両国軍当局間の意思疎通のために組織を設置することだった。米日は2005年10月、米日安全保障協力委員会(2+2会議)で、東京の横田基地に米日共同統合作戦調整センター(BJOCC)を設置することに合意した。以来、両国は2007年5月の2+2会議で「BMD運用情報及び関連情報を直接相互的にリアルタイムで常時共有するように確約する」ことに合意した。この作業は、日本MDの頭脳に当たる自動警戒管制システム(JADGE)を管理する航空自衛隊航空総隊司令部が2010年3月、横田への移転を終えたことで、完成されたものと見られる。

 ここに韓国が加わると、韓国のレーダーとイージス艦が捕えた北朝鮮の核とミサイル関連情報が、日米にリアルタイムで提供される。これは、韓米日3角MDシステムが統合に向かう最初の段階に入ることを意味しており、それだけに周辺国を刺激して軍備競争を激化させる危険性も大きくなる。

 現在、韓国では、北朝鮮のミサイル発射の兆候が見られると、これを先制打撃する「キルチェーン」と、日本のパトリオット3よりも一段階低いパトリオット2による、韓国型MD(KAMD)が構築されている。韓国が米日MDに編入されている道を選んだことで、今後この戦力を日本とほぼ同等のレベルまで強化することが求められる見込みだ。実際、国防部は、米国からパトリオット3購入を確定し、2017年の配備を目標に作業を進めている。その上、探知、追跡、迎撃まではるかに高い統合性を必要とする高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)まで、朝鮮半島に配備されると、日米MDシステムへの統合はさらに加速化する見通しだ。

 そのため韓国が抱え込まなければならないのは、天文学的な財政負担だ。日本政府が2008年のMD構築のために必要だと明らかにした予算規模は、8000億円〜1兆円(8兆〜10兆ウォン)だった。韓国は当時、日本よりMD構築のための基礎条件が備わっていないため、これより多くの費用がかかると予想される。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-01 19:55

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/728816.html 訳H.J

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