潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の訪朝は、北朝鮮と潘総長側の利害関係が一致したためと分析される。ただし、パリのテロなどで国際社会が不安定状況の中で、南北、朝米など、朝鮮半島情勢が足踏み状態を続けており、潘総長が訪朝の成果を出せる状況と条件が整っているとは言えない。
北朝鮮が、今年5月に潘事務総長が開城工業団地訪問を推進した時とは異なり、最終的に潘総長の訪朝を受け入れる場合、対外関係をより安定的に管理しようとする姿勢を表しているものと思われる。北朝鮮が積極的かつ積極的な対外関係の改善に乗り出したと断じるのはまだ早いが、北朝鮮は最近、少なくとも“安定的な状況管理”の必要性は認めているような動きを見せてきた。
来年5月に労働党大会控えた北朝鮮
国連総長の任期が残り1年の潘総長
互いに利害関係が一致
南北、朝米関係が足踏み状態に
金正恩第1書記に会う可能性高いが
北朝鮮の核問題など、成果出せるかは未知数
最も端的な事例が、今年10月1日にリ・スヨン北朝鮮外相が国連総会演説で、「米国が停戦協定を平和協定に変えることに同意する場合、共和国(北朝鮮)は朝鮮半島における戦争との衝突を防止するための建設的な対話をする用意がある」と明らかにしたものだ。また、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記は先月初め、労働党創建70周年を契機に訪朝した劉雲山・中国共産党政治局常務委員に「経済発展と人民生活の改善のために、平和で安定した外部環境が必要だ」と述べている。
何よりも来年5月に開かれる第7回労働党大会を控えている北朝鮮にとっても、対外関係が緊張局面に突入するのは望ましくない。36年ぶりに開かれる党大会で金第1書記が“新しいビジョン”を宣言することが予想される状況で、対外紛争に伴うエネルギー消耗を最小限に抑える必要性があるからだ。このような観点から、潘事務総長の訪朝を受け入れることは、北朝鮮としてはかなり有効なカードになり得る。
潘事務総長も任期が1年しか残っていない状況で、成果を出さねばならない立場に置かれている。潘事務総長は、国連事務総長として打ち出すべき特別な業績がないと内外から指摘されて来た。したがって潘事務総長側としては、世界で唯一の分断国家出身の事務総長として、訪朝を通じて朝鮮半島の緊張緩和に寄与したという成果を内外に示すことができる。実際、潘事務総長は、2007年の事務総長就任以来、「適切な時期に訪朝を検討する」と重ねて表明してきた。今年5月には、開城工団の訪朝直前で失敗に終わったことがある。
潘事務総長が訪朝したら、金第1書記との会談が実現する可能性はかなり高いものと見られる。国連の首長という象徴性を持っている潘総長と金第1書記の面談が実現できない場合、北朝鮮側は“外交的な欠礼”という非難を受ける可能性もある。潘事務総長も、金第1書記に会えない場合、訪朝の趣旨を問われるなどの批判を受ける可能性もあるため、金第1書記と確実に面談できる保証を求めたものと予想される。
しかし、潘総長の訪朝をきっかけに朝米関係と南北関係で劇的な突破口が開かれる可能性は低いと専門家らは評価した。朝米関係と関連し米国政府は、停戦体制を平和体制に変えようという北朝鮮の提案について、非核化の進展がなければ「あり得ない話」と一蹴した。北朝鮮が潘総長を通じて非核化を宣言するはずもないし、米国が前提条件なしで平和体制を議論しようと提案する可能性も、現時点では極めて低い。仲裁できる余地があまりないという意味だ。
南北関係も先月、離散家族の再会以降、足踏みを続けている。南北は今年8月25日、板門店の高位級接触で当局者会談の早期開催に合意したが、まだ後続の会話は再開されていない。このような状況で潘総長が南北に贈る“プレゼント”は特になさそうだ。
韓国語原文入力::2015-11-16 21:18