韓国経済が6四半期ぶりに1%台の成長率を回復した。しかし中東呼吸器症候群(MERS)のため極度に振るわなかった第2四半期(4~6月)との比較なので、「予告されていた瞬間成長」に終わる可能性が大きい。
韓国銀行は第3四半期の実質国内総生産(GDP)が前分期に比べて1.2%増加したと集計(速報値)されたと23日明らかにした。 第2四半期の0.3%など、5分期連続で続いた0%台成長から抜け出したわけだ。 昨年同期から累計すれば2.6%の成長になる。
成長率の上昇には、第2四半期に-0.2%を記録した民間消費が1.1%増え、不動産景気に後押しされて建設投資が4.5%増加したことが主な要因になった。 追加補正予算の執行と個別消費税の引き下げなど政府の内需振興政策の効果も反映されたものと見られる。 輸出は0.2%減り輸入は1.3%増えた。
このような分期成長率は、2010年第2四半期の1.7%以来5年ぶりの最高値でもある。 しかし低成長局面からの脱出を言うのは早い。 何よりも第3四半期の内需回復には第2四半期にMERS感染の影響で落ち込んで延期されていた消費支出が遅れて実現し、数値が相対的に高く出てくる“基底効果”が反映されたと分析される。
市民が皮膚で感じる“体感成長率”は逆にマイナスというアンケート調査結果も、“およそ5年ぶりの最高成長率”を色褪せたものにさせる。現代経済研究院が8月31日~9月9日に成人806人を対象に調査して22日に発表した報告書「第3四半期景気感触の特徴と示唆点」によると、平均体感成長率(年間)は-0.2%となった。 特に自営業者の平均体感成長率は-0.6%であった。
景気状況に対する体感指数は公式指標より悪く出てくる場合が多い。専門家たちは回答者が経済的苦痛を実際より強く感じて表現する傾向があると見る。 だが、実際の経済行為につながる経済主体の態度を示すという点での意味がある。 報告書は「体感景気が振るわない場合、心理的萎縮を引き起こし積極的な経済活動を阻害する」とし、消費余力と実際の消費の連動を強化するには、体感指標も同時に考慮しなければならないとした。 イ・ヨンファ現代経済研究院主任研究員は「第3四半期に成長率が上がったのも消費に後押しされたためだ。 消費には心理的要因が大きいが、消費心理が消えないよう家計所得の増大を後押しする政策が出て来る必要がある」と話した。
一方、イ・ジュヨル韓銀総裁は23日、延世大で開かれた「金融安定評価と中央銀行に対する政策示唆点」という会議で「金融安定の側面で世界経済が直面した最大のリスクは、米国の通貨緩和政策が正常化することにより現れる国際的波及効果だろう」とした上で「韓国の場合、家計負債を適切に管理しなければならない」と強調した。 米国が基準金利を引き上げ始めれば、各国で外国資本の離脱と市中金利引き上げが避けられないといい、韓国内の一部にある基準金利引き下げ論に否定的な立場を再確認した。