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「社内で歴史わい曲の教科書採択運動を強要された」在日女性が損害賠償訴訟

登録:2015-09-01 23:45 修正:2015-09-02 07:47
育鵬社が出す歴史と公民教科書=資料写真//ハンギョレ新聞社

 在日コリアンの女性が会社から歴史わい曲の教科書の採択推進運動に参加するよう圧力を受け、苦痛を味わったとし、会社を相手に損害賠償請求訴訟を起こした。

 日本の東京証券市場1部に上場された不動産大手フジ住宅に勤務する40代の在日コリアン女性は、歴史わい曲の教科書の一種である育鵬社(いくほうしゃ)の教科書を多くの学校に採択させる運動に参加するよう強要されたとし、慰謝料3300万円を会社に請求する訴訟を31日、大阪地方裁判所に出したと朝日新聞が伝えた。育鵬社版教科書は右翼系列の「新しい歴史教科書をつくる会」の元幹部が編集した中学校教科書だ。

 訴状によるとフジ住宅は、日本が太平洋戦争を起こした理由について「欧米による植民地支配からアジアの国々を解放する目的」と強調する内容を盛り込んだ育鵬社版教科書を支持する内容を書いた文書を今年5月に社員に配布した。 そして、育鵬社版教科書の採択率を高めるために社員に各自の住所地の市長や教育委員長に手紙を書いたり、各地方教育委員会で開かれる教科書展示会のアンケート調査にも積極的に参加しろと言った。会長名義で作成されたこの文書には、社員が育鵬社版教科書採択推進運動への参加を「勤務時間にしても良い」と記されている。

 日本では2016年から4年間使われる中学校教科書の採択作業が最近行われたが、学校ごとに教科書を採択する韓国とは違い、日本の中学校では地域の教育委員会が特定教科書を選定すればその地域の学校はそれに従わなければならない。 日本の自民党は右翼教科書の採択率を高めるために地方議会の議員を動かして地域の教育委員会に影響力を及ぼす戦略をとり続けた。教科書採択率は今月中に最終集計が出てくる見込みだ。 日本の大都市の中では大阪が4年前とは異なり育鵬社版教科書を採択するなど、右翼教科書の採択率が4年前より高まると見られる。

 訴訟を起こした在日コリアン女性は、職場で昨年から中国や韓国を批判する書籍や雑誌の文を社員に読ませたと話した。社員が「私も中国、韓国の国民性がとても嫌いだ」というような感想を書けば、会社が再びこの感想文を会長名義で社員に回覧させ、こうしたことがほとんど毎日のように続いたと話した。在日コリアン女性は「私のような存在は身の置き場がなくなった」と話した。

チョ・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/706976.html 韓国語原文入力:2015-09-01 20:49
訳J.S(1157字)

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