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韓国造船業で広がる構造調整…社内下請け大量解雇の危機

登録:2015-06-04 12:46 修正:2015-06-04 13:21

現代重工業の社内下請け労働者
今年に入り4月までに約2千人削減
給料日に突然、廃業通知されることも
賃金・退職金ももらえず失業
日本のように熟練労働者が消え去る
政労使が共に軟着陸の準備すべき

 世界的な景気低迷で受注が減り続ける国内の造船会社が構造調整に入り、雇用不安がより一層増幅されている。特に造船業全体の雇用で60%を占める社内下請けの雇用は、突然の会社廃業と共に仕事がなくなる事態に直面している。

 現代重工業のクォン・オガプ社長は、今年に入り事務職社員の約1300人を退職させた後、今月1日に人員縮小の中断を宣言したが、社内下請け労働者問題に関しては特別な言及がなかった。現代重工業労組が公開した同社資料によると、社内下請け労働者は昨年12月末で4万1059人いたが、今年4月末は3万8986人となり、約2千人も減った。人員縮小は社内下請け会社が突然廃業する形でなされる。4月、現代重工業下請け業者の河南産業とペクウンENGは、給料日の日に約200人の社員に廃業を通知した。その後、雇用継続はされたものの、3月分の賃金と退職金の一部をまだ受け取れないでいる状態だ。現代重工業系列会社の現代ミポ造船の下請け業者KTK船舶も、3月に賃金もまともに払わず廃業を通知した。

造船業界の社内下請け中心の雇用増加現況//ハンギョレ新聞社

 金属労組・現代重工業社内下請け支会は、こうした“食い逃げ廃業”の事態は、現代重工業が社内下請け業者に毎月支給する業務費である既成金を削減したためだと主張する。名前を明らかにできない業界関係者は「社内下請けの雇用不安の原因は、結局、多段階下請け構造にある」と指摘し、「下請け業者事業主は元請けから与えられる資金が減れば事業をたたむしかない」と話す。現代重工業は廃業した下請け業者には既成金を支給してあり、賃金滞納問題の責任はないという。現在は不良企業を選び出す下請け業者の点検に入っている状況で、一部業者に対しては再契約しないと明らかにした。

 こうした境遇に追い込まれた造船業界の社内下請け労働者は、約11万人に達する。韓国造船海洋プラント産業協会の資料によると、2013年末を基準で約18万3千人の造船業従事者のうち、62%に当たる約11万4千人が社内下請け労働者として雇用された。全雇用は2008年から2013年の間に約3万1千人増えたが、社内下請けの増加がその大部分の約3万人を占めた。彼らが昨年から本格的に失業の崖に追い込まれている。

 造船所が集まる慶尚南道も蔚山と事情は似ている。慶南の製造業全体で造船業が占める比重は売上額の23.5%、輸出額の44%に達する。巨済・古城・統営の労働健康文化空間「新たな地」シン・サンギ代表は、「社内下請け業者が廃業した後に雇用継承がなされるとしても、条件が悪化する傾向にある」と指摘し、「巨済には造船業社の内外下請け業者で働く1万人ほどの移住労働者がいて、賃金滞納で相談を受けることが頻繁にある」と語った。

 中国の造船業者の浮上で韓国造船産業が過去の好況に戻れない状況で、政労使が一緒になって“軟着陸”を準備すべきだとする指摘もされる。延世大社会発展研究所パク・ジョンシク専門研究員は「中小型造船会社の大部分が消えた今、職場から押し出されたら、転職できる会社が不足している。こうした事態が続けば、日本のように造船業を維持する熟練労働者が消えてしまうのが憂慮される」と語った。イ・サンホン韓国非正規労働センター政策委員は「大型と中小の造船会社が共生できる新しい産業生態系の構想が必要だ」と指摘した。

パク・ヒョンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-03 21:16

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/694138.html 訳Y.B

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