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[記者手帳] 最高裁判事候補者の検証報道を歪曲する朝鮮日報

登録:2015-04-10 01:15 修正:2015-04-10 06:17
パク・サンオク大法院判事候補者(一番前)が7日午後、国会で開かれた人事聴聞会で「パク・ジョンチョル拷問致死隠蔽事件」で当時捜査検事が十分な真実糾明努力をしたかを問う野党議員の質問を目を閉じて聞いている イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 1987年1月にパク・ジョンチョル氏拷問致死事件を初めて報道した新聞は中央日報だった。 その後、警察の縮小・隠蔽などを相次ぎ報道し流れを主導したのは東亜日報だった。 当時、朝鮮日報が権力に対抗して事件の真実を暴くのに何らかの役割をしたという話は聞いたことがない。

 朝鮮日報の記者としてペンを取り、12・12軍事クーデター後に全斗煥(チョン・ドゥファン)政権の大統領府秘書室に入ったホ・ムンド氏は、その後断行されたマスコミ人大量解雇とマスコミ統廃合を主導した。パク・ジョンチョル氏拷問致死事件が発生した時は、国土統一院長官を務め、全斗煥政権の最後まで共にした。

 パク・ジョンチョル氏拷問致死事件の縮小・隠蔽に同調したのではないかという疑惑が提起されたパク・サンオク大法院(最高裁)判事候補者の国会人事聴聞会が7日終わった。 28年前にも格別の役割を果たさなかった朝鮮日報は、今回も“問題意識”を見い出せなかった。同紙がパク候補者に対する検証取材をどれほどしたのか分からないが、記事とコラムを通じては「欠点がないので聴聞会は早くやろう」と強く要求した。

 同紙はパク候補者の人事聴聞会が終わると9日付紙面に「拷問警察官を証人として出して、捜査検事を審判しようとしたコメディ聴聞会」という内容の“記者手帳”を載せた。 取材する時に使う記者手帳が、実際に取材はしなくて使われることもあるというコメディのような状況はさておく。

 ハンギョレは1日、パク候補者が直接捜査した拷問警察官との単独インタビュー記事を書いた。 世の中と絶縁したように暮らしている彼の行跡を訪ねて、1カ月以上にわたり噂をたよりに捜し出し、ようやく捜し出した当事者にかろうじて説得して行われたインタビューだった。 パク候補者の縮小・隠蔽同調疑惑を巡り、政界と市民社会が二つに分かれた状況で、当時“検事パク・サンオク”の調査を受けた拷問警察官は、パク候補者に対して最も直接的に証言できる最高の取材源だ。

 朝鮮日報はその“記者手帳”で、「パク候補者の任命に絶対反対してきた親野党指向の新聞が、野党を事前支援するために拷問警察官に質問攻勢をかけたが、結局失敗した」と書いた。「パク・サンオク検事が知っていたなら上に報告しただろう」、「自分はそれなりに最善を尽くした」として、ハンギョレが報道した拷問警察官のコメントまで引用した。

キム・キュナム記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、朝鮮日報はパク候補者を批判的に検証することが、なぜ“野党援護射撃用”になるのか説明しなかった。 同紙からは、現在私たちが享受している民主主義を可能にしたパク・ジョンチョル氏の犠牲は見られず、ただ与野党間の算法と有利不利の問題だけが目に映る。 重要な人物のインタビュー発言そのままを、彼の混乱した記憶や迷う心理までも加減することなく読者に伝えることが、ジャーナリズムの観点で何が問題だというのかも分からない。

 朝鮮日報こそ、この間自分たちの好みに合う誰かを“事前支援”するために記事を書いてきたのかもしれない。 同紙がパク候補者が指名されるとすぐに、検証どころか“弁論”に立ったのはなぜだろうか? その本音がとても気になる。

キム・キュナム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/686274.html 韓国語原文入力:2015-04-09 21:29
訳J.S(1600字)

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