北朝鮮がリッパート駐韓米国大使襲撃事件をめぐって「韓国の民心(市民の思い)の懲罰」というあきれる主張をした。我伝引水式の非常識な態度である。当事者である米国の静かな反応と対比されよう。
北朝鮮の報道機関は事件発生の5日から「朝鮮半島の戦争危機を高めている米国を糾弾する南の方の思いを反映した抵抗の表れ」と評してきた。キム・ギジョン氏の個人的な突発行為があたかも南の国民の大勢の支持を得ているかのように強弁したのだ。外交使節に対する暴力を擁護するこのような態度は許されることではない。このような態度は自分が理性的でない集団であることを世界中に宣言しているのと変わらない。韓米合同軍事訓練の開始以降高まった朝鮮半島の緊張緩和にも役立たない。
米国政府はキム氏の襲撃を他の問題とは別個の事として「我々は分別ない暴力行為に萎縮しない」としている。感情を制えて客観的に見る態度である。米国内の朝鮮半島の専門家たちの見解も同様である。「韓国社会の主流から外れた異端者の突発行為」として韓米関係に影響する要素にはならないというのが多数意見である。米国人はその一方で、安全な国の一つとして知られてきた韓国でこのような事件がなぜ起きたかと疑問を提起している。同様の事件が繰り返されてはならないという内容だ。
北朝鮮が韓米訓練に敏感に反応しているのは理解できる面がある。しかし今回のような非合理的な態度に終始すると南北と朝米の関係も一定の悪影響を受けるほかない。なにより韓米両国の世論が悪化するだろう。特に米国人は北朝鮮のこのような態度を好戦的なことして受け入れる可能性が大きい。北朝鮮が仮にリッパート大使にねぎらいのメッセージを送った場合と比べて考えるとその違いは簡単に分かりうる。
現在、韓米両国は北朝鮮との対話を慎重に模索している。今年が対話に適した時期という状況判断も共有している。北朝鮮が本当に対話を通じて朝鮮半島の懸案事項を解決する気があるならばそれに即して行動すべきだ。拍手も手の平をしっかり合わせ打ってこそ音が高まるはずだろう。
韓国語原文入力::2015/03/06 18:31 訳T.W(943字)