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韓国二大労組が今年の賃上げ約2万円の定額引上げ案を提示

登録:2015-03-03 21:46 修正:2015-03-04 07:15
民主労総の旗//ハンギョレ新聞社

 二大労組の民主労総と韓国労総が、今年最低23万~24万ウォン(1円=9ウォン)の賃上げを要求することを決めた。 労働現場に一種のガイドラインの役割を果す二大労組の要求案が提示され、今年の賃金交渉の幕が上がった。 これに先立って、サムスン電子が今年は賃金凍結を宣言するなど財界もコスト低減に乗り出しているため労使間の熾烈な攻防が予想される。

 民主労総は3日、加盟組織の今年度賃上げ要求案を23万ウォンに決めたと明らかにした。 これに先立ち韓国労総は今月初めに24万5870ウォン(7.8%)を提示した。 これら二大労組の賃上げ要求案は加盟団体に直接的な強制力はないが、今年の賃金交渉を控えた各産別労組と個別企業労組に一種の指針の役割を果すという点で意味が小さくない。

韓国労総の旗//ハンギョレ新聞社

 二大労組が23万~24万ウォンの定額引き上げというカードを持ち出したのは、低成長基調の脱出口を所得主導による成長に求めなければならないという認識が基礎にある。 イ・チャングン民主労総政策室長は「グローバル金融危機以後、韓国経済が困難に直面しているのは、企業が莫大な利潤を蓄積する間に労働者の実質賃金引上げ率は事実上0%台に留まるなど、極端な所得不平等が原因である。 労働者の賃金の全般的な引き上げを通した所得主導成長で労働者と庶民を生かしてこそ韓国経済も生かすことができる」と指摘した。

 二大労組は提示金額について、これは最低額だと説明している。 23万~24万ウォンを上げても労働者が生計を立てるのに必要な標準生計費には遥かに至らないということだ。 二大労組は賃上げ要求案準備のために加盟組合員の標準生計費を調査した。 民主労総組合員の平均世帯規模は3.64人で、この世帯が衣食住や通信、教育など必ず必要な標準生計費を調べてみると555万ウォンほどだった。一方、組合員の平均賃金は394万ウォンなので、標準生計費に160万ウォンほどが不足している。 定額給与引き上げにともなう各種手当て引き上げ分まで考慮すれば、固定給を114万ウォン上げなければならないが、経済成長率、物価上昇率、所得分配改善分などを考慮した賃上げ率8.2%を適用すれば23万ウォンが出てくるというのが民主労総の説明だ。

 ここで二大労組が賃上げ率ではなく引き上げ額を提示した点に注目する必要がある。 ホ・ユンジョン韓国労総政策部長は「同一割合で上げれば、正社員と非正規雇用、大企業と中小企業労働者間の賃金格差が拡大するため」と話した。 月に200万ウォンを受け取る非正規雇用労働者の8%は16万ウォンだが、400万ウォン受け取る正社員の8%は32万ウォンで、引き上げ金額には二倍の違いが生じる。

 キム・ユソン韓国労働社会研究所先任研究委員の分析によれば、昨年8月基準で非正規雇用の賃金は正社員労働者の49.9%に留まった。 このような事情を考慮して民主労総は当初から23万ウォンを要求案として提示し、韓国労総も正社員は7.8%を引き上げても非正規雇用は24万5870ウォンという定額を上げなければならないと主張しているわけだ。

 二大労組の要求案に対する財界の反応は冷たい。 一分期に5兆ウォン台の営業利益を出すサムスン電子までが今年初めに賃金凍結を宣言するなど、財界は経済状況が悪化するという予測を前面に掲げる。 キム・ドンウク韓国経営者総協会(経総)広報企画本部長は「経済条件も良くないのに、23万~24万ウォンは極めて大きな金額だ。 特に中小零細企業が耐えられるか疑問だ」と話した。 昨年2.3%の引き上げ案を出した経総は早ければ今週中にも自らの賃金引き上げガイドラインを出す計画だ。

 政府が労働市場の構造改革を今月中に終えようとしている状況で、民主労総は4月に一斉ストライキを、韓国労総は5月に対政府闘争計画を構えている上に、6月には来年度の最低賃金を決定をしなければならず、二大労総の賃上げ要求案は争点に浮上する展望だ。

チョン・チョンフィ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/680664.html 韓国語原文入力:2015/03/03 20:49
訳J.S(1796字)

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