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[ニュース分析] 誰も幸せになれない済州島の地価急騰

登録:2015-01-11 20:51 修正:2015-01-17 20:47
半農半漁の閑静な海辺の村だった済州市旧左邑月汀里の海岸道路沿いでは不動産価格が7~8倍以上に急騰した。 最近3~4年間、他の地方から来た移住民がカフェやゲストハウスなどを相次いで開業し、カフェ村に変貌して起きた変化だ。//ハンギョレ新聞社

 済州島の地価が沸騰している。 昨年1~11月の地価上昇率は3.181%で、新都市を建設中の世宗(セジョン)市を除けば全国最高を記録した。一般の土地だけでなく住宅や競売市場も熱い。 中国資本の投資と相次ぐ内国人の済州移住などが原因に挙げられる。 移住民たちは海沿いの石垣に囲まれた窮屈な家をカフェに変えたり、色とりどりな色を塗ったゲストハウスに変えている。 不動産価格の上昇は海岸だけでなくミカン畑などの農地や中山間部の集落の不動産価格も押し上げている。 地主たちは不動産価格の上昇を喜んでいるが、その弊害を憂慮する声も上がっている。

■済州全域で急騰する不動産価格

昨年の地価上昇率
世宗市を除けば全国最高
5年間で住宅売買価格15.3%上がり
アパートは33%も…全国平均の3倍上昇

 11日訪ねた済州市我羅(アラ)洞の宅地開発地区では、いたる所でテラスハウスが作られていた。 新規住宅があふれ、賃貸募集の案内板も多く見られた。大企業を早期退職したカン氏(54)は3年前に退職金でここの土地約400平方メートルを3.3平方メートル(1坪)当たり160万ウォン(約17万円、1ウォンは約0.11円)で購入し、3か月前に380万ウォンで売り、2億ウォン以上の差益を出した。 カン氏は「立地条件が良くなくその価格で売ったが、もっと良い土地なら3.3平方メートル当たり400万ウォンになる」と話した。

 共稼ぎ夫婦のキム氏(48)も最近、済州市朝天(チョチョン)邑 臥屹(ワフル)里のミカン園約2900平方メートルを3.3平方メートル当たり45万ウォンで買いとった。 取得税と登録税などを含めてミカン園を買うのに4億ウォンかかった。 2億ウォンは住宅を担保にして融資を受けた。 引退後に農作業をするなり、地価が上がれば転売しようという考えだ。 キム氏夫婦が買ったミカン園周辺のミカン園は1年前に3.3平方メートルが18万ウォンで出ていた点を考慮すれば、倍以上に騰がったわけだ。 それでもキム氏夫婦はよく買えたと考えている。 西帰浦(ソギポ)市 大静(テジョン)邑の海岸道路沿いも3~4年前は3.3平方メートル当たり70万~80万ウォンで取り引きされていたが、今の相場は300万ウォンだ。

 西帰浦市南元(ナムォン)邑のイ氏(56)は「3年前に3.3平方メートル当たり100万~150万ウォンで取り引きされていた爲美(ウィミ)里の海岸道路沿いは、今は300万ウォンで取り引きされている。 最近では350万ウォンで売った事例もある」として「中山間道路の上の方では1~2年前なら10万~20万ウォンだったが、昨年50万ウォンで売れた」と話した。 オルレ(小道)7コースの終点である西帰浦市安徳(アンドク)面 大坪(テピョン)里の農地も3~4年前80万ウォン台だったが、今は100~200万ウォンで取り引きされている。 済州市翰京(ハンギョン)面 楮旨(チョジ)里のキム・ソンジュ氏(51)も「3~4年前は村の宅地の場合、10~15万ウォンだったが、今は30万ウォンになった」として「7年前に道路沿いの1320平方メートルを3.3平方メートル20万ウォンで売ったが、今なら100万ウォンまで行く」と話した。 済州島全域の不動産価格が騰がっているわけだ。

 済州の住宅売買価格も最近5年間(2010年~2014年10月)、アパート(日本で言うマンションに相当)を中心に急騰して、住宅売買価格の上昇率は全国平均の8.0%より倍近く高い15.3%を記録した。 中でもアパートの売買価格の上昇率は33.7%で、全国平均の11.1%に比べ3倍以上騰がった。 競売市場も活況だ。 昨年1月には済州市旧左邑月汀里の農家(延面積63.61平方メートル、土地274平方メートル)が、152対1の入札競争の末に鑑定価格(3600万ウォン)の2倍を越える236.64%(8529万ウォン)で落札され、裁判所競売情報が収集され始めた2000年以来の全国最高値を記録した。

■中国資本の投資熱と済州移住者急増

中国人の所有地 5年間で300倍に、人口も急増
2013年に60万人を越え、住宅融資も全国最高の増加率

 済州の不動産価格上昇についてイ・ジソン韓国銀行済州本部企画金融チーム課長は「土地の場合は、中国人の投資など開発に対する期待感が他所に比べて高いので、資金が集まっている。 土地や住宅の価格上昇の最大要因は人口の持続的増加」と分析した。

 2006年以後、済州道内18の外国人投資誘致企業のうち12社が中国企業だ。 キム・ポンヒョン済州大会計学科教授とソン・ジョンチョル済州島不動産仲介業協会事務局長(46)は、中国資本の投資を不動産価格急騰の主要因に挙げた。 キム教授とソン事務局長は「内国人は不動産価格に対してある程度の情報を持っていて、価格があまりに高く形成されれば投資を敬遠する傾向がある反面、中国人はブローカーが介入して騰がっても買い取るため、周辺の土地も一緒に上昇する」と口をそろえた。

 ソン局長は「済州市も西帰浦市も済州道全域で中国人の不動産投資開発熱気が高いうえに、内国人も一緒に投資した結果、価格が上昇しているようだ。 農地は中国人が直接買収できないため、第三者を代理人として立てたり法人形態で買っている」と話した。

 済州道の中国人所有土地は、2009年1万9702平方メートルから昨年6月基準で592万2327平方メートルに増えた。5年間に約300倍程増えた勘定だ。 2009年には済州道の外国人所有地のうち、中国人の比重は1%にもならなかったが昨年は43%に増えた。

 毎年大きく増えている内国人の済州移住なども不動産価格の上昇に一役買っている。 済州道の人口は87年に50万人を超え、2013年に60万人を超えた。 10万人が増えるのに26年かかった。 コ・ヨンジン済州道住民自治係職員は「現在の人口流入傾向が続けば、5年以内に70万人を越えそうだ」と見通した。 流入人口から流出人口を引いた純流入人口も2010年から毎年増えて、2010年の43人から2011年2342人、2012年4873人、2013年7824人に続き、昨年は1万1111人増えた。 一か月に平均900人以上が済州に定着しているわけだ。

 人口が増えてかつて中山間部の集落で展開した「空家貸し運動」は痕跡をなくして久しい。カン・ウンソン西帰浦市安徳面大坪里里長(51)は「空家が出れば翌日にはなくなる。それほど外から多く入って来ている」と話した。

■庶民住居安定対策が必要

済州道民たち、住宅購入が難しくなり
賃貸料も騰がり庶民生活は苦しい
住宅政策・土地取引規制などが必要

 2010年頃から済州道内の住宅価格が急騰して住宅担保融資も増えた。2009年全国最下位圏に留まっていた住宅担保融資は、2010年の7位から2012年と2013年にはそれぞれ11.8%、11.0%の増加率を示し、全国で最も高い増加傾向を記録した。

 このように不動産価格が急騰すると地域経済に及ぼす影響を調査して住宅安定政策などの対策が必要という声が上がっている。 イ・ジソン韓国銀行済州本部課長は「住居費負担が大きくなり、済州道民が家を買うことが難しくなった。 済州地域でも住宅価格格差が広がれば、階層間問題が発生しかねない」として「特に不動産の価格が騰がれば低所得層の打撃が大きい。したがって賃貸住宅供給など住居安定政策を用意する必要があり、旧都心と新都心を均衡発展させる必要がある」と話した。

 済州市のある公認仲介士は「今は住民が農地を高く売れて良いかもしれないが、長期的には土地が大資本に蚕食され、子孫の生活基盤が疲弊する」として「中国資本の投資で問題になっている一部地域は、土地取引許可地域に指定して集中管理を行い、価格安定を試みる必要がある」と話した。

 キム・ポンヒョン教授は「済州市の地下商店街や中国人が多く訪れる新済州連洞にある中国企業の名前を取った宝健(パオジェン)通り商店街の賃貸料が急騰した結果、他地域の賃貸料も一緒に上昇して、庶民の暮らしが難しくなっている。不動産価格が急騰して取引が減り投資収益率が低下し、大規模な新規または追加投資をしないことによって企業投資を萎縮させる憂慮もある」と診断した。 キム教授は「済州道の不動産価格急騰に関する実態調査と分析などを行い、不動産対策を早急に用意しなければならない」と話した。

済州/ホ・ホジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/673034.html 韓国語原文入力:2015/01/11 16:00
訳J.S(3823字)

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