21世紀の韓国で起きてはならないことが起きた。10日夕に全羅北道の益山(イクサン)のシンドン教会で開かれた在米韓国人のシン・ウンミさんと、ファン・ソン元民主労働党副報道担当のトークコンサート「平壌(ピョンヤン)を訪ねた女たちの統一物語」が、手製爆弾の投げ込み騒動で修羅場に変わった。スタッフが制止したので良かったものの場合によっては重大な人身事故になるところだった。容疑者は19歳の高校3年生で、イルベ(日刊ベスト保存所=ネット掲示板)で活動した経歴があると分かった。オンライン上の極端な政治主義が現実のテロ行為としてまで現れたという点で衝撃的である。
今回の事件はこの国の極端な反北朝鮮イデオロギーが一種の憎悪による犯罪につながったことで見逃すことはできない。攻撃の標的になったシンさんは『オーマイニュース』で「在米同胞おばさん、北朝鮮に行く」の連載記事で10月に韓国記者協会などが主管する統一マスコミ賞の特別賞を受け、その後トークコンサートを進めてきた。しかし一部の極右団体はシン・ウンミさんのトークコンサートに“従北コンサート”(北のシンパ)というレッテルを張って北朝鮮を地上の楽園と表現したとして国家保安法違反容疑で検察に告発することまでした。
事件を起した生徒はイルベで活動して、社会の最も低レベルの極右的な主張に染まったと見られる。この日犯行をはたらいた際にも、シン・ウンミさんに「今、北朝鮮を地上の楽園だと言ったろう?」と尋ね、相手がそんなことはないと答えたのに「地上の楽園と表現した」として用意していた爆発物に火をつけた。自分の思い込みにとらわれた状態で無謀な行いをはたらいたと推察される。一人の若者をそんな風に聞く耳をもたなくしたことは、この国(韓国)の大人たちだ。特に保守マスコミの形態を指摘せざるをえない。これらのマスコミはシンさんのトークコンサートを非難する記事を書き立ててきた。ともすると“従北”に向けて駆り立てることこそ実際のテロを助長する言葉のテロである。
かつてヴォルテールが言ったように自由民主主義は「私はあなたの意見に同意しないが、あなたの意見が弾圧されるならばそれに立ち向かって戦う」という寛容と自由の精神に根ざして育てた木である。それなのに北朝鮮の事情について一部の極端な勢力と異なる見解を明らかにしたという理由で攻撃の対象になるならば、これは自由民主主義を自ら否定するものである。寛容こそ自由民主主義が独裁体制よりましだということを示す根拠である。テロはこの体制の価値の本質を裏切るものだ。従北のレッテルを張って物理的な攻撃まで敢行するこのような勢力に断固として立ち向かってこそ自由民主主義体制は守られるのだ。
韓国語原文入力:2014/12/11 18:42