「会談成功のカギは中国と韓国ではなく日本が握っている。 日本が歴史問題に対して大きな誠意を見せ進展が見られない限り、首脳会談をする理由はない。」
鄭継永 中国復旦大学教授(41・写真 朝鮮・韓国研究所長)は14日『ハンギョレ』と会って、朴槿恵(パク・クネ)大統領が13日にアセアン(東南アジア諸国連合)+3(韓・中・日)会議で提案した韓中日首脳会談と関連して「北東アジア内の緊張解消と領域内協力のために首脳会談は必要だ」としつつも否定的な見解を示した。中国人民解放軍出身の鄭継永教授は、朝鮮半島問題および周辺国との外交と関する中国屈指の新進専門家であり、韓国の成均館大学 成均中国研究所が14日に主催した学術会議参加のために韓国を訪問した。鄭継永教授の見解が中国政府の立場を公式に代弁するものではないが、中国国内の専門家たちの情緒を一定程度反映していると見ることはできる。
鄭継永教授はさらに、韓中日首脳会談について「成果を期待できないならば事前の実務接触段階で失敗に終わる可能性が高い」として「独島(ドクト)入島支援センターの設立保留や韓中日首脳会談提案では、朴槿恵大統領と韓国が性急だった気がした」と評価した。 過去の問題に対する日本の態度変化を楽観できない状況で、韓中日首脳会談の成功の可能性は高くないと見ているわけだ。鄭継永教授は「北朝鮮と米国の接触、中国と日本の首脳会談、そして北朝鮮と日本の間で進む会談など、最近の情勢を見据えて韓国が領域内競争および協力構図で遅れを取ることを懸念し性急な措置を下し、日本を助ける結果になった」と付け加えた。
「日本の態度変化は楽観できない
実務接触段階で失敗に終わる可能性
朴大統領の提案は性急だったと考える」
「サードの韓国内配置は中国内陸部まで探測する意図
中国は韓国を刺激する多くの手段や方法を持っている
サードが韓国内に配置されれば朝鮮半島政策を再検討」
鄭継永教授が韓中関係を観る視角も韓国政府とはかなり異なっていた。朴槿恵政権は、就任2年目にして既に5回に及ぶ首脳会談、習近平国家主席の平壌に先んじたソウル訪問、自由貿易協定(FTA)妥結などを挙げ、「類例なき最高の関係」と評価している。しかし、鄭継永教授は逆に「自由貿易協定もそうだが、今年に入って中国は韓国に多くの善意を示したが、韓国政府が中国政府に対して見せた反応は“経熱・政温・安冷”だった」と評価した。 経済は熱いが、政治はぬるく、安保は相変らず冷たいということだ。彼は「今年7月、習主席が韓国に来て冷遇されたと 思った」としながら「首脳会談により中国は得より損が多いという結論を下すことになる」と話した。中国が韓中首脳会談当時に要請したアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入や高々度ミサイル迎撃システム(THAAD・サード)配置に関連して、韓国が明確な立場を示さないことに対する不満を示したわけだ。
実際、米国側から絶えず伝わる「サード韓国内配置説」に対して、鄭継永教授は強く反発した。 彼は「米国の主張通り北朝鮮のミサイル探知が目標ならば、現在グアムに配置されているサードで充分と言える。 また、北朝鮮の軍事力は韓国の軍事力で十分に対応可能だ」として「サードの朝鮮半島配置は中国を内陸まで深々と探測することになる」と話した。 サードに含まれるエックスバンド レーダーの探知半径は1000~1500キロだと知られているが、中国側では信号の出力により3000キロ以上の長距離まで可能だと見ている。
鄭継永教授はサードの韓国内配置が強行され中国がじっとしていると思うかと、直接的に不満を述べた。 彼は「中国は韓国を刺激する多くの手段と方法を持っている」として「中国が最新鋭戦闘機100機を北朝鮮に売ったり持って行ったりすれば、韓国はどうするつもりか」と主張した。 彼はさらに続けて「中国は韓国の対北朝鮮政策を全て支持している。だから韓国が今のような強硬策をとることもできる」とし「サードが韓国内に配置されれば、中国は朝鮮半島政策も再検討することになるだろう」と主張した。
鄭継永教授は韓国の慶南大学極東問題研究所で博士学位を取得した後に研究員を務め、毎月訪韓するほどに韓国との縁が深い。