キム・ジンテ総長、カカオトークの盗聴令状拒否宣言に対し「直接盗聴する」
キム・ジンテ検察総長が23日に開かれた最高検察庁国政監査で、ダウムカカオの盗聴令状執行拒否宣言に対して「(ダウムカカオが令状執行に)協力しないなら直接盗聴する」と話し論議をかもしています。 「自ら手段を講じる」という返答も繰り返しました。 ‘直接盗聴’、‘それなりの手段’。聞きようによって無限の想像が可能な言葉です。 キム・ジンテ総長の本心はどこにあるのでしょうか? 発言の全文を詳細に見ながら判断してみます。
先ずキム・ジンテ総長は、カカオトークに対するリアルタイム盗聴は技術的に不可能だと強調します。
「インターネットをリアルタイムにモニタリングすることは法的・技術的に不可能だと言ったが、国民は検察には盗聴できる施設や装備があるのではないかという疑問を提起している」(ノ・チョルレ セヌリ党議員)
「何回も話したと理解していますが、検察には装備がありません」(キム・ジンテ総長)
「まったくない?」(ノ・チョルレ セヌリ党議員)
「はい」(キム・ジンテ総長)
ところが検察に装備はあります。 ユ・スンヒ新政治民主連合議員が未来創造科学部から受け取った資料によれば、最高検察庁は合計175台の盗聴装備を持っています。 このうちレーザーを通じてガラス窓の振動を測定し、対話内容を盗聴するレーザー装備と、特定場所の対話を盗聴して無線送信する無線送受信機などの先端装備も65台が含まれています。 検察もこの事実は認めています。 ただし、この装備でカカオトークをリアルタイム盗聴することは不可能だというのが検察の説明です。
「技術的にカカオトークに対するリアルタイム盗聴が不可能だ」と答えると、それに対して「それではどのようにするのか」という議員の質問が続きます。「方法を研究してみる」と言って始まったキム・ジンテ総長の返答は「緊急盗聴制度を活用する」と拡大していきます。
「(ひとまず)今と同じ方法で(盗聴令状を送り協力を要請する)。 技術的にリアルタイム盗聴が可能か否かは研究してみる」、「法執行に応じないということは考えられない。 最後まで応じなければ、検察としても何らかの措置をとらざるをえないのではないでしょうか」(キム・ジンテ総長)
「どんな措置があるか」(ノ・チョルレ議員)
「緊急盗聴制度もあり、場合によっては押収捜索(も可能だ)。 具体的懸案に応じて私たちが適切に対応する。」(キム・ジンテ総長)
緊急盗聴制度とは、令状なしで盗聴を行い、後に裁判所の許可を受ける制度です。 通信秘密保護法は「国家安保を脅かす陰謀行為、直接的な死亡や深刻な傷害の危険を惹起しうる犯罪または組織犯罪など重大な犯罪の計画や実行など、緊迫した状況にある時」に限りこれを許容しています。 緊急盗聴を行った場合には、実施後36時間以内に裁判所の許可を受けなければなりません。 ダウムカカオは対話の保存期間を2~3日に減らし、事実上対話内容を引き渡さないという立場ですが、令状発給段階を飛び越えればダウムカカオの‘妙手’は無力化されえます。 「ダウムカカオの拒絶に検察が対応する」とした発言も誤解を買うに十分な内容です。 議員たちの質問が集中します。
「盗聴令状を会社が拒否した場合、制裁条項はないのにどんな方法で対応するというのか。」(イ・サンミン新政治民主連合議員)
「民主国家が民主市民が、法によって…(執行される令状を拒否してはならない)」(キム・ジンテ総長)
「法に規定がないのにどんな方法で対応するというのか」(イ・サンミン新政治民主連合議員)
「人間としての倫理があり、一企業として、個人としての倫理があるじゃないですか」(キム・ジンテ総長)
ついにキム・ジンテ総長が‘倫理’を持ち出しました。 検察業務に協力しなければ‘非倫理的’だという話をしたかったのでしょうか? 返答が続きます。
「事業者の協調を求めても応じない場合、倫理やそういうものに依存するという意味でしょうか?」(イ・サンミン議員)
自ら手段を講じる。ただし具体的に話すことはちょっと…」(キム・ジンテ総長)
「法律的に実効性を担保する手段がないので、話すことはちょっと困ると答えざるをえないのではないか」(イ・サンミン議員)
「民主国家では行為規定だけがあって制裁規定がないことが多い。 制裁規定が全くないからと言って、しなくても済むということか。 そうではないとみる」(キム・ジンテ総長)
「聞いた限りでは、検察が威圧的に力を行使するという意味に聞こえる。『検察が要求しているのに事業者が応じないわけがあるか』ということか?」(イ・サンミン議員)
失言したと感じたのか、キム・ジンテ総長は発言の水位を下げます。だが、夜9時を過ぎてキム・ジンテ総長は‘爆弾発言’をしてしまいます。
「業者が協力しなければ技術的にどのようにするのか」(ノ・チョルレ議員)
「協力しないというなら直接する他はない。簡単に言えば門を開けてくれなければ鍵屋を呼んで門を開けさせるように直接するしかない」(キム・ジンテ総長)
「直接することができるシステムを持っているのか?」(ノ・チョルレ議員)
「研究している」(キム・ジンテ総長)
説得はしてみるが、協力しなければ事業者の協力を得ずとも直接サーバー内容を把握するという見えすいた脅しです。業界ではキム総長のこの発言に対して「国内のIT産業崩壊につながりかねない危険な発言」という反応です。 粗雑な業務処理で‘サイバー亡命’事態を招いた検察が、今度は企業にまで亡命隊列に合流しろと煽っているのです。