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韓国科学技術院(KAIST)大学院生が人権を求め「権利章典」制定

登録:2014-10-05 00:41 修正:2014-10-06 08:21

被害救済常設機構の運営規定も
人権団体「大学側の後続措置が必要」
昨年平均時給3221ウォン、セクハラ・性暴行被害者30人

 韓国科学技術院(KAIST、カイスト)大学院の総学生会が“人権死角地帯”である大学院生の権利と義務はもちろん、被害救済機構の設置・運営まで含めた権利章典を韓国内の大学として初めて作った。 昨年の学部生による学生宣言制定(『ハンギョレ』 2013年3月29日付12面)に続き、大学内のすべての学生の人権保障のための基盤が用意されたことになる。

「カイスト大学院生権利章典」は、総則と権利、義務、補則で計21の条項で構成されている。権利章典序文は、大学院を「人間の尊厳が守られる平等な知的共同体」と規定した。 加えて、大韓民国憲法・法律と国際条約などに規定された人間の尊厳と価値、自由と権利が大学院でも有効だという点を再確認した。

 権利項目には、人間としての尊厳と平等権をはじめとして正当な学業・研究、公正な評価と知識財産権、私生活の自由と拒否権、健康的な休息・安全など11の権利を網羅した。 また、権利章典に明示されていないという理由で軽視される権利があってはならないという点にも釘を刺した。 権利と一体となる大学院生の義務としては、論文盗作や不当な著者表示の禁止など、研究倫理の遵守と施設の安全、助教としての研究協力などを5個の条項に入れて均衡を取った。さらに、権利章典に明示された権利が侵害された場合、大学院に公式的な救済手続きを要求できるようにし、大学院は迅速な被害救済がなされるよう委員会などを非公開で開くことにした。

 特に最後の21条には、大学院が教授・職員・大学院生の人権保障と人権教育のための常設機構を運営するよう規定し、権利章典が単なる宣言に終わらないようにした。 キム・ヨンジュ大学院総学生会長(機械工学科博士課程)は3日「権利章典を支持する“青い盾”ビラ(写真)を教授室と研究室などに貼り出すなど、多様な広報活動を繰り広げる計画だ。 今回の権利章典制定と宣言が、制度改善にとどまらず学生たちの権利意識を変化させる第一歩になると見る」と話した。

 カイスト大学院総学生会は2004年から毎年研究環境実態調査を行っている。 昨年の調査結果を見ると、カイスト大学院生の受託研究費平均時給は3221ウォンで、最低賃金4860ウォンの3分の2水準に止まった。 回答者の17%は1年間に休暇を一日も取得できず、教授や同僚などからセクハラ・性暴行にあったと答えた学生も30人に達した。 大学院総学生会は2012年5月、全国大学院の中で初めて人権センターを作り運営している。

 イ・サンジェ大田(テジョン)忠清南道人権連帯事務局長は「権利章典が大学院生の権利を守る実質的で効果的な文献になるためには、何より教授をはじめとする大学当局がこれを認め守ろうとする努力と現実的な後続措置が後に伴わなければならない」と話した。

 6日、カイスト本館前ではカン・ソンモ総長と大学院生らが参加した中で権利章典の宣言式が開かれる。

大田/チョン・ジンシク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/658253.html 韓国語原文入力:2014/10/04 01:01
訳J.S(1457字)

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