法務部がチェ・ドンウク(54)検察総長の婚外子疑惑に対する監察に先立ち真相調査作業に本格着手したが、検察内外で実効性に疑問を提起されている。 強制調査権限がない法務部監察官室が、チェ総長などに遺伝子検査などを強制する手段がないばかりか、婚外子を産んだという時点上、監察の前提条件になる懲戒処分の時効もすでに終わっているためだ。 しかも婚外子の母親という主張が提起されたイム・某(54)氏がチェ総長に婚外子であることを認めてほしいと訴訟を起こしたのでもなく、無理な監察推進という批判は避けられないものと見られる。
22日法務部と検察などの話を総合すれば、ファン・ギョアン(56)法務部長官の指示を受けた法務部監察官室は、チェ総長の家族関係など基礎的な監察資料収集に乗り出した。 監察官室はイム氏の叔母であるチュ・某氏も最近調査したことが明らかになった。 法務部が監察に切り替えるには長官諮問機構である監察委員会(委員9人)の検討および勧告手続きを踏まなければならない。
チェ総長の婚外子疑惑はチェ総長と婚外子だというチェ・某(11)君の遺伝子を直接採取して検査してこそ決着をつけられる事案だ。 法務部が真実を明らかにするためには‘遺伝子検査’以外には方法がないわけだ。 チェ総長とイム氏、チェ君3人の協力が基本前提だ。
しかし法務部監察を通じて遺伝子検査がなされる可能性は希薄だ。 チェ総長は民事訴訟で婚外子疑惑を糾明するものの監察には応じないという態度を明確にしており、イム氏が11才の息子に負担を転嫁する可能性も少ない。
しかも法務部が遺伝子検査などを強制する権限もない。 監察対象者以外の参考人に資料提出や出席・返答を要請することはできるが、強制調査はできない。 監察対象者であるチェ総長は陳述書の提出などに対する法務部の協力要求に正当な理由なく応じなければそれ自体が監察を受ける理由となりうるが、一般人であるイム氏らは要求に応じなければそれまでだ。
チェ総長の婚外子疑惑の場合、懲戒時効が過ぎているという点も監察の実効性に疑問を抱かせる。 法務部監察規定は‘懲戒処分の要件となる行為を犯したと認めるに足る相当な理由がある場合に調査する’となっている。 調査結果で不正発生時点を特定し、懲戒時効が完成されれば注意措置ができる。 イム氏が婚外子をもうけたという時点は2002年だ。 検事懲戒法を見れば懲戒は理由があった日から3年が過ぎればこれを請求できないよう規定している。 疑惑事実の有無と関係なくチェ総長は懲戒請求対象ではないのだ。
法務部が真相調査の端緒としている証拠の違法性有無を先に問い詰めなければならないという指摘も出ている。 検察関係者は「捜査であれ監察であれ適法に得た証拠を基本として処罰や懲戒が可能だ。 法務部が<朝鮮日報>報道などに出てきた学籍簿、血液型、出入国記録などを端緒で真相調査を始めたとすれば、情報収集過程の不法性をまず切り分けることが法律家の基本」と話した。
監察の実効性論議が盛んに行われながら婚外子疑惑を名分として掲げてチェ総長の‘身上はたき’に出ようとする意図が敷かれているのではないかという憂慮も出てきている。 検察関係者は「<朝鮮日報>報道一つを言葉尻を捉えて総長を責め立てたり、出て行くという総長の辞表を受理しないたことを見れば、何でも良いから瑕疵を見つけ出して素直に送りだしはしないというウ意図と見ざるをえない」と話した。 キム・ジョンピル記者 fermata@hani.co.kr