北韓が新年辞で朴槿恵(パク・クネ)大統領当選人と新政府に対する期待感を間接的に表わした。 南北関係改善の可能性を開けておきボールを南に渡したものと分析される。
金正恩 朝鮮労働党第1秘書が1日 新年辞で6・15,10・4宣言の尊重と履行を強調したことは、南北関係改善のために最も必須の大きな課題が何なのかについて原則的立場を明らかにしたわけだ。 金第1秘書のこのような発言が特に関心を引くのは、2つの宣言に対する朴槿恵当選人の立場がこれと似ているためだ。 朴当選人は大統領選挙公約で「南北間の既存合意に含まれた平和と相互尊重の精神を実践し、細部事項は現実に合わせて調整していく」と明らかにした。 これは南北間の既存合意を尊重しなかった李明博政府とは異なる点だ。 共同宣言を履行する意志がなかったという点が李明博政府時期に南北関係が壊れた重要な原因として指摘される。
もちろん朴当選者が話した‘既存合意’には両宣言の他に朴正熙、維新政府時期の7・4南北共同声明、盧泰愚政府時期の南北基本合意書なども含まれると解釈される。 朴当選者は大統領選挙公約で南北関係改善の試金石と見なされる金剛山(クムガンサン)観光の再開と5・24措置解除などについては言及しなかった。
統一研究院は1日に発表した‘2013年北韓新年辞評価’という題名の報告書で「(北の)宥和基調が回復したと見ることができる。 当局間対話再開の意向を明らかにしながら南北関係進展の前提条件として‘南北共同宣言尊重と履行’を提示した」と分析した。 キム・ヨンチョル仁済(インジェ)大統一学部教授は「朴当選人が‘合意’ではなく‘合意精神’を実践すると話した点や、具体的な信頼回復政策が見られないという点は引っかかる。 ただし北韓が新政府に対する期待感を示したと見られ、新政府がどのような態度を見せるかに応じて北韓も変わりうる」と話した。 ユ・ホヨル高麗(コリョ)大北韓学科教授も「共同宣言を尊重して履行しろと言ったことから見て南北関係に改善の余地があるとみられる。 南北関係復元にそれでも期待を少しは持っているようだ」と分析した。
金第1秘書が朴当選者に対する非難や核武器など敏感な問題に言及しなかったことも目につく。 先立って北韓は昨年12月1日 「候補 朴槿恵は対北韓政策公約で矛盾した話をしている」として7ヶの公開質問を発表した経緯がある。 北韓が新年辞を通じて朴当選者に南北関係を改善するための行動余地を与えたという分析が可能だ。
この他に金第1秘書は2010~2012年の新年共同社説とは異なり駐韓米軍の撤収、韓半島非核化、北韓-米国敵対関係終息のような米国関連主張を出さなかった。 また、2012年共同社説で強調した中国、ロシアとの関係についても言及しなかった。 新指導部ができた3ヶ国の対北韓政策を見守りながら態度を決めるという金正恩第1秘書の意中が読まれる。
今回の新年辞に対してまだ朴当選人側は慎重な態度を見せている。 南北関係の専門家で国会外交通商統一委員会所属であるキル・ジョンウ セヌリ党議員は「合意精神に対する尊重は北韓と新政府の間に違いがなく、北韓もこれを関係改善の出発点としたいようだ」として、ひとまず肯定的に評価した。 キル議員はその一方で「最近ロケット発射があったので関係改善を急ぐことは難しく、人道的支援のような事業から進めながら少しずつ改善していくことが可能だろう」と話した。
キム・キュウォン記者 che@hani.co.kr