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"古里1号機 圧力容器 安全性評価 とんでもない方式 使用" 批判

登録:2012-10-23 08:54 修正:2012-10-24 09:57
国会教育科学技術委員会が去る8月22日国会で開いた古里1号機再稼働関連公聴会で参席者が原子力発電所の安全性問題を議論している。 カン・チャングァン記者 chang@hani.co.kr

"方程式を解くために臨時に求めた値を逆に変数として使うことは誤りです。" "米国機械学会も認める方式です。"

 先月11日、釜山高裁で開かれた‘古里原子力発電所1号機稼動中止仮処分申請’抗告審裁判で古里1号機の圧力容器安全性評価方式を巡り繰り広げられた鋭い攻防は23日に開始される裁判でも続く展望だ。 裁判の争点は古里1号機寿命延長の根拠として提示された圧力容器安全性評価方式の妥当性に関するもので、古里1号機の寿命再延長だけでなく今後の国内原子力発電所の寿命延長許可とも直結する問題なので注目をあびている。

 韓国水力原子力(株)は2007年古里1号機寿命延長安全性の根拠として新しい評価方式で測定した結果値を出した。 マスターカーブ方式で評価すると‘加圧熱衝撃基準温度’(RTnpt)が摂氏126.6度と出て来て、基準である149度を越えていないということだ。 これに対して今回の訴訟を提起した釜山市民訴訟団の参考人として去る裁判に参加した井野博満 東京大名誉教授は「マスターカーブ方式を使うために導き出した値を全く別の方程式に代入して加圧熱衝撃基準温度を求めている」という主張を提示した。

■加圧熱衝撃基準温度 ハラハラ原子炉

 圧力容器は原子力発電所の寿命延長で最も重要な部品に挙げられる。 高温・高圧状態で核燃料が中に入っていて、亀裂ができたりこわれれば日本、福島原子力発電所のように手のほどこしようもない事故につながりうるためだ。 圧力容器は鋼鉄をたたいて作るので、ある程度の衝撃を吸収できる性質を持っている。 しかし原子力発電所の運転過程で中性子を受ければ鋼鉄の性質がガラスのように固くなり簡単にこわれる性質(脆性)に変わって行く。 脆性化が激しくなれば熱せられた圧力容器に冷たい水を注いだ時の衝撃がそれだけ強まる。

 原子力発電所を安全に稼動するためにはある程度の衝撃吸収力(最大吸収エネルギー・USE)と‘脆性化遷移温度’(延性から脆性に変わる温度・NDT)を許容できるかを決める必要がある。 原子力安全委員会の告示は原子力発電所の寿命が終わる時まで最大吸収エネルギーは68ジュール(J),加圧熱衝撃基準温度は149度を維持するように定めた。 最大吸収エネルギーが低くなれば簡単にこわれるということであり、脆性化遷移温度が上がれば冷たい水ではなく温水を注いだだけでも圧力容器に損傷が生じるという話だ。 1999年古里1号機に対する測定の結果、稼動前に零下23度であった脆性化遷移温度は107.2度に高まり、衝撃吸収エネルギーは54.9ジュールと出てきた。 脆性化遷移温度が実際に圧力容器内側壁にどれくらいのの衝撃を与えるのかを示すために特定の計算を通じて加圧熱衝撃基準温度を算出する。 1999年脆性化遷移温度107.2度と計算された加圧熱衝撃基準温度は142.33度で限度基準(149度)に肉迫し、2005年の計算では2013年には基準を越えると評価された。 稼動40年になる2017年には151.2度まで上がる。

■マスターカーブ方式と参考値代入 論難

 これに伴い、2005年韓水原と韓国原子力研究院には古里1号機の2007年寿命延長のために別の評価方式を導入する必要が生じた。 米国原子力規制委員会(NRC)は既に使っているシャルピー方式の衝撃試験で圧力容器の健全性を精密に算出できない場合、他の方式で解析することを許容する規定を設け、2002年からマスターカーブ方式を導入した。 我が国でもこれを準用し原子力安全委員会告示に反映させ、マスターカーブ方式で古里1号機圧力容器の健全性を再評価した。

 マスターカーブ方式は検査試験片にひびを入れ、一定の衝撃を加えた時に亀裂がどのように動くかを評価するもので、その値でグラフ(K1c曲線)を描き、加圧熱衝撃で描いたグラフ(K1曲線)と比較する破壊力学解析を用いる。 この時、K1c曲線がK1曲線より常に大きければ安全性があると見る。 二つの曲線が出会えばその地点で破壊が起きると解釈できる。

 この時、実験材料を破壊するシャルピー方式で脆性化遷移温度(RTndt)を求められる場合には簡単にK1cを手に入れられるが、脆性化遷移基準温度がない場合にはマスターカーブ方式で参考値(RTto)を導き出しK1c曲線を作るよう米国機械学会(ASME)は基準を作った。

 井野教授は「この参考値を持って逆に計算した脆性化遷移基準温度を代入して加圧熱衝撃基準温度を算出したことは誤り」という主張だ。 ヤンイ・ウォンヨン環境運動連合脱核エネルギー局長も「マスターカーブ方式は2つのグラフを比較して健全性を‘解釈’することが目的であって加圧熱衝撃基準温度を求めるためのものではない」として「韓水原側は2つのグラフの比較結果を公開しなければならない」と話した。

 これに対して韓水原側は23日に開かれる抗告審担当裁判所に提出した‘準備書面’を通じて「古里1号機の評価に使った加圧熱衝撃基準温度は米国の確率論的評価方法により作られたもので、加圧熱衝撃安全余裕度を評価して法規定を満足させる場合、2つの曲線が出会わないという意味」と反対主張を出した。 また「K1c曲線を求めるための参考値を脆性化遷移基準温度として使うことは米国機械学会基準(N-629)に出ている」と反論した。

 だがN-629条項には「参考値をK1cを求めるための方程式で脆性化遷移基準温度に代入して使うことができる」とされているだけで、韓水原側主張は説得力に欠ける。 これに対してイ・ボンサン韓国原子力研究院責任研究員は「古里1号機の圧力容器材料はシャルピー衝撃方式で試験をすれば正常な破壞靭性値が出てこず、マスターカーブ方式を導入した」として 「様々な保守的数値を代入して出したのが126.6度なので安全基準を満足していると判断した」と話した。

イ・グンヨン先任記者 kylee@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/556981.html 韓国語原文入力:2012/10/22 21:52
訳J.S(2845字)

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