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ネパールの大洪水、炭素排出国の「責任額」は米中が圧倒的…国家間の訴訟は不透明

登録:2026-09-29 06:17 修正:2026-09-29 10:42
ネパール大洪水から1ヶ月 
死者・行方不明者8千人、被害額2800億円 
炭素排出量0.01%の国に降りかかった災難 
米中など主要排出国に責任を求める
先月26日、大規模な土砂崩れと洪水により、ネパール・ヌワコット地域のトリシュリ川沿いに位置する住宅が、押し寄せた泥によって甚大な被害を受けた。災害から1カ月が過ぎた26日(現地時間)、生き残った住民たちが泥の山の中から失われた物を探している=ヌワコット/AFP・聯合ニュース

 先月26日、ネパールと中国、チベットの国境地帯で、気候危機により弱体化した氷河と岩盤が突然崩れ落ちた。土と岩が混ざり合った巨大な急流がヒマラヤの渓谷に沿って流れ込み、村を襲った。土砂崩れからちょうど1カ月が過ぎた26日現在、ネパールと中国での行方不明者は6163人、死者は1496人に達している。ネパールだけでも建物約7000棟が倒壊し、3万2000人が家を失った。道路や橋梁、水力発電所は廃墟と化した。ネパール政府が推計した直接的な物的被害額は18億ドル(2830億円)で、復旧と再建には47億7000万ドルがかかる見通しだ。

 ネパールを襲った災害は、これまでの気候災害とは異なる様相を呈している。太平洋の島国を飲みこむ海面上昇や、以前より激しくなった豪雨や猛暑とは異なり、一瞬にして爆発のように訪れた。その光景を世界中の人々が鮮明な映像で確認した。また、事態直後、被災国政府が主要な温室効果ガス排出国に対し責任を問う姿勢を見せた。この災害が、国際社会に対し、気候危機の深刻さとその責任を明確にするべきだという「気候正義」を呼び起こしているのだ。

 ネパールのシャハ首相は24日(現地時間)、米国ニューヨークで開かれた第81回国連総会での演説で、「ネパールは世界の温室効果ガス排出量の0.1%未満を占めるに過ぎない」とし、「我々はこの危機を引き起こしたわけではないが、その代償を払わされている」と声を高めた。実際、産業化以降、ネパールの国民が排出した二酸化炭素の累積量は、地球の大気に蓄積された総量の0.0125%に過ぎない。

 ネパールのカナル外相も、事故当初、炭素排出量1〜3位の中国、米国、インドに言及し、被害に対する責任を求めた。カナル外相はその後、「国際社会が共に取り組むべきだという意味だ」として発言を撤回したが、史上初の「国家対国家」の気候訴訟に発展する可能性に注目が集まった。温室効果ガスの多排出国と脆弱な国々の間で、気候危機に対する責任と賠償問題が本格的に提起されたのだ。災害の原因を気候危機と切り離せない状況で、誰がどれだけの被害復旧費用を負担すべきかが、今後の争点として浮上する見通しだ。

ネパールのシャハ首相は24日(現地時間)、米国ニューヨークで開かれた第81回国連総会で演説し、「ネパールが全世界の温室効果ガス排出量で占める割合は0.1%未満だ」とし、「我々は危機を引き起こしたわけではないのに、代償を払わされている」と声を高めた/AFP・聯合ニュース

■ICJの判決で訴訟の可能性が高まったが

 ただし、ネパール政府がまず選んだ道は「損失・損害基金」だ。同基金は、気候危機によって直接被害を受けた開発途上国を支援するためのもので、2022年の第27回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)で設立が決まった。ネパール政府が基金に要請した金額は2000万ドル。申請1件あたりに認められる上限額であり、ネパールの直接的な物的被害額18億ドルのわずか1%に過ぎない。ところが、これさえも受け取れるかどうかは分からない。7月末までに先進国が基金に拠出すると国際社会に約束した金額は8億2300万ドルだが、実際に基金に集まった金額は4億8600万ドルに過ぎない。基金への拠出額を先進国自らが決める強制力のない仕組みだからだ。さらに、これまでに119の開発途上国が損失・損害基金に要請した金額だけでも28億ドルを超える。

 にもかかわらずネパールがこのような選択をしたのは、訴訟が容易ではないためだ。昨年7月、国際司法裁判所(ICJ)が「気候変動に関する勧告的意見」を発表したことで、気候被害国が主要排出国に責任を問う法的基盤が整った。当時ICJは、各国に現在の地球の気候システムを保護する国際法上の義務があり、これに違反すれば「違法行為」にあたるとし、原状回復や金銭賠償などの責任も問えるとの見解を示した。

 同様の訴訟が企業を相手取って提起された例もある。ペルーの農家サウル・ルシアノ・リウヤさんは2015年、自身の村の上流にある氷河湖が氾濫の危機に瀕しているとして、ドイツの電力会社RWEを相手取り訴訟を起こした。RWEがこれまでに排出した温室効果ガスの排出量に相当する分、堤防設置費用を分担すべきだという主張だった。ドイツのハム高等裁判所は昨年5月、請求を棄却したが、その法理自体は認めた。今後30年以内に氷河湖の氾濫によりリウヤさんの家が被害を受ける確率が約1%に過ぎないというのが、棄却の理由だった。その一方で、大規模な温室効果ガスを排出する企業が、地球上の他の地域の気候被害に影響を与えたのであれば、費用を分担し得るとし、追加訴訟の可能性を残した。

 しかし、国家間の訴訟は容易ではない。気候団体「プラン1.5」のチェ・チャンミン弁護士は、「ICJの勧告的意見により、国家気候訴訟の可能性は明らかに高まった」とする一方で、「国家間の裁判には当事国間の管轄権に関する合意が必要であり、相手が合意しなければ裁判を進めることはできない」と述べた。ネパールが中国、米国、インドを相手取りICJに提訴したとしても、これら3カ国が裁判結果を受け入れるという「合意」がなければ、裁判自体が成立しないという意味だ。その後も乗り越えるべき山は多い。亜洲大学法科大学院のソ・ビョンチョン教授は、「違法性だけでなく、温室効果ガスの排出と被害の因果関係、複数の排出国間の責任配分も検討しなければならない」と説明した。

ドイツ企業を相手に「気候訴訟」を提起し、10年間にわたって法的闘争を繰り広げたペルーの農民、サウル・ルシアノ・リウヤさん(44)が、自身の故郷であるウアラス地域の氷河湖の前に立っている/ロイター・聯合ニュース

■基準によって変わる「責任の割合」

 ただし、リウヤさんの論理を適用すれば、各国の分担率の算出は可能だ。累積量か現在の排出量かを基準に、その分担割合が変わるだけだ。

 世界の主要問題に関する統計を示す「アワー・ワールド・イン・データ(OWID)」によると、2024年1年間の温室効果ガス排出量は、中国が31.8%(123億トン)で最も多い。その次は米国12.7%(49億トン)、インド8.3%(31億9000万トン)の順だ。一方、産業革命後の1750年から2024年までの累積量では、米国が23.5%(4350億トン)で最も多く、次いで中国が15.4%(2850億トン)で2位、インドは3.6%(660億トン)で7位となっている。ネパールの直接的な物的被害額18億ドルにこの割合を単純に掛けると、2024年1年間の温室効果ガス排出量基準で、中国が5億7200万ドル、米国が2億2900万ドル、インドが1億4900万ドルとなる。累積量を基準にすると、米国が4億2300万ドル、中国が2億7700万ドル、インドが6426万ドル。

 韓国もこの議論から免れることはできない。韓国は2024年の年間排出量で世界9位(1.5%)であり、産業化以降の累積排出量では16位(1.1%)だ。そのように計算した韓国のネパール被害に対する仮想分担額は、2024年基準で約2720万ドル、累積基準で2020万ドルとなる。

 ソ教授は「韓国の排出量は中国や米国より少ないとはいえ、国際的にはかなりの量だ」とし、「気候被害国が排出寄与度に応じた責任を本格的に要求し始めれば、韓国も潜在的な責任国となり得る」と述べた。

チャン・スギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1279674.html韓国語原文入力:2026-09-28 15:30
訳H.J

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