米国によるホルムズ海峡への派兵要求攻勢が激しさを増している。同盟国の要請をやみくもに無視することはできないが、軍の海外派兵は国の命運と将兵の命に直結する重大事だ。とりわけ武力衝突が起きている中東海域などへの派兵は、下手をすれば他国の戦争に巻き込まれる端緒となりうる。したがって、無条件の追随や単なる拒否ではなく、国際法と憲法に則った高度な「条件付き関与」戦略が求められる。
まず第一に、米国の要求を細かく解体、分離して判断すべきだ。航行の自由のための民間船舶の保護と、イランなどの特定の国に対する攻撃・封鎖任務は、次元の異なる問題だ。国連憲章(第2条4項)は武力の行使を厳格に禁止しており、自衛権の行使(第51条)も比例原則を満たさなければならない。同盟国の要求や航行の安全という大義名分だけでは、韓国の攻撃作戦への関与は正当化され得ない。集団的自衛権にもとづく要請であっても、国会の同意(憲法第60条)と国務会議での審議(第89条)という民主的統制手続きは、決して妥協できない最後の防衛線だ。
派兵の時期と任務も徹底して統制しなければならない。交戦が進行中の状況では、在留邦人の避難、外交的緊張の緩和、人道的な非軍事支援に集中するのが正しい。直接的な軍事的貢献は持続可能な停戦が成立してから、「独立した商船保護と防衛的な機雷への対応」に限定すべきだ。韓米同盟の観点からも、合同演習や防衛費分担金を絡めた圧力がかけられても、通商と国防のチャンネルを分離して断固たる対応を取るべきだ。派兵に向けた憲法上の手続きを交渉の駒にしてはならない。
では、進退窮まる外交的圧力の中で、韓国は米国にどのような代案を提示すべきか。筆者は、単なる賛否にとどまらない、国際社会と国民のいずれもが納得できる「戦略的リスク分散(スマートヘッジ)」戦略を提案する。
第一に、国会の同意案に「スナップバック(条件付き復帰)派兵統制」条項を入れるべきだ。かつてのように曖昧な「非戦闘支援」という名目で派遣し、その後、現地の事情によって作戦範囲が広がる事態を防がなければならない。多国籍軍が当初の防衛目的を逸脱し、先制攻撃や攻撃作戦へと任務を転換した場合、韓国軍の任務を直ちに「自国民の避難および防衛」に自動転換するとともに、撤退手続きを開始する「スナップバック」条項を法制化するのだ。これは、同盟国の派兵要求を受け入れつつも、韓国軍が他国の無分別な戦争の拡大に巻き込まれることを根本から防ぐ外交的、法的な盾となるだろう。
第二に、戦闘艦ではなく「デジタル海洋安全保障の傘」を提供することも検討すべきだ。現代の海上の脅威は、ドローンや機雷などの非対称戦力に集中している。弾薬や砲弾、戦闘艦を送る代わりに、韓国の世界水準の情報技術(IT)、衛星データ、気象・海洋情報を組み合わせた「先端海洋早期警報統制システム」を展開するのだ。これにより、紛争海域を通過するすべての多国籍な民間商船にリアルタイムで危険情報と安全な航路を提供すれば、一滴の血も流さずに国際航行の安全に中心的な貢献をする国として認められうる。
第三に、「非戦闘中堅国航行連帯」の結成を主導すべきだ。米国主導の強圧的な軍事作戦に無条件に組み込まれるのではなく、防衛任務への専念を原則とする欧州の主要国、オーストラリア、カナダなどとともに、第三の海洋安全保障協議体を主導するのだ。これは、国際的な責任を果たしつつリスクを分散する戦略だ。
同盟国は価値観と利益を共有するが、主権国家の憲法を超えることはできない。派兵の最終目的は戦争への介入ではなく、平和と国民の保護であるべきだ。激しい外圧の中で大韓民国の国益と将兵の命を守る強固な防波堤となるのは、危機を好機に変える精緻な政策的妙案と厳格な民主的統制だけだ。
チョン・スミ|弁護士 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )