南北を「事実上の二つの国家」とし、敵対ではなく「平和共存」政策の追求を明記した李在明(イ・ジェミョン)政権初の統一白書が公表された。北朝鮮が最近、南北を事実上の敵対的な二つの国家関係として既成事実化したことを現実として認め、そのうえで相互尊重と対話を続けていくという意思が込められたものといえる。
白書は、9・19南北軍事合意の復元も重点課題に挙げた。統一部は18日、「2025 朝鮮半島平和共存の記録」という副題がついた2026年統一白書を発刊したと明らかにした。統一部は、昨年6月の李在明政権発足時に完全な断絶状態に置かれていた南北関係を克服し、敵対と対決を平和共存へと転換するために取り組んできた点を強調し、政策方向転換の意義を盛り込んだと説明した。
白書は、北朝鮮の「敵対的な二国家関係」という主張に対し、「統一を志向する平和的な二国家関係」への転換が必要であるという点を強調した。事実上、南北が「二つの国家」として存在する現実を考慮し、南北の関係を、統一を志向しつつ平和的に共存する関係に築いていくというものである。北朝鮮は3月、憲法を改正して領土条項を新設し、韓国を「大韓民国」と明記することで、南北を「二つの国家」関係として明文化した。ただし、憲法には韓国を敵視する文言が盛り込まれなかった。政府はこうした現実を反映し、「平和的な二国家関係」を明記したが、これは1991年の南北基本合意に基づく「統一を志向する特殊関係」という従来の南北関係規定とも矛盾しないと判断した。白書は「南北基本合意書の採択以来、歴代政府が35年間にわたり推進してきた平和共存政策を継承するものだ」と明記した。白書は、平和的な二国家関係の形成に向け、北朝鮮の体制を尊重し▽吸収統一を追求せず▽敵対行為を推進しないという3原則も提示した。
これは、「大胆な構想」などで自由と統一を前面に打ち出し、北朝鮮政権を圧迫して、核抑止を強調していた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対北政策から一変したものだ。昨年5月に発刊された尹錫悦政権の2025年統一白書は、北朝鮮の敵対的な二国家関係の規定を批判し、韓国が主導する統一ビジョンに重点を置いた。また、「北朝鮮の非核化」のために北朝鮮の核脅威を「抑止」し、核開発を「断念」させ、「対話」を通じて北核問題を解決すると記した。
一方、今回の李在明政権初の統一白書は、北朝鮮の核開発の現実を考慮し、「中断・縮小・廃棄」という3段階の非核化解決策を提示した。また、「戦争と核のない朝鮮半島」の実現を目標に掲げ、「交流・関係正常化・非核化」という包括的アプローチを戦略とした。
統一部は、尹錫悦政権当時に行われた北朝鮮向けのビラ散布と拡声器放送を李在明政権が中止したことも、「『先に平和を実践した』先制的な緊張緩和措置」だったとし、「南北境界地域の平和回復などの変化」が生じたと評価した。
白書は、9・19軍事合意の復活を重点推進課題として提示した。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2018年9月、平壌での南北首脳会談で締結された9・19軍事合意は、政権によって浮き沈みを経験した。非武装地帯の緊張緩和、南北軍事境界線周辺の飛行禁止区域設定など、軍事衝突を緩和するための合意は、尹錫悦政権下の2024年6月に効力が停止された。その後、李在明政権が発足し、合意の先制的・段階的な復元を約束した。
今回の白書は、前回の白書に比べ、北朝鮮の人権(288回から47回)や自由(118回から16回)に関する言及は減った一方、平和または平和共存(108回から627回)、会談または対話(50回から114回)などの単語の頻度は増えた。白書は「北朝鮮離脱住民(脱北者)」という言葉を「北郷民」に変更した。