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韓国の南極基地で同僚に凶器…加害者は1カ月たって移送、基地で完全な分離策なし

登録:2026-05-12 06:32 修正:2026-05-12 08:02
基地には治安要員不在
東南極のテラノバ湾にある韓国の「張保皐基地」=張保皐基地のウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 韓国の南極基地「張保皐(チャンボゴ)科学基地」で先月中旬、ある隊員が同僚の隊員らを凶器で脅した事件が発生し、隔離措置が取られていたことが11日に確認された。人的被害はなかったものの、交通事情が劣悪な南極基地の特性上、加害者の移送に1カ月近くを要したため、被害を受けた隊員たちは治安要員不在の中、長期間にわたり加害者と隣接する空間で「危険な同居」を余儀なくされた。

 与党「共に民主党」のイム・ミエ議員室が韓国海洋科学技術院の付属機関である極地研究所から入手した資料によると、東南極の北ビクトリアランド・テラノバ湾にある南極張保皐科学基地で、先月13日午後、施設管理班長のA氏が凶器を手に他の隊員らを脅した。A氏は越冬準備の過程で対立があった同僚に向けて凶器を取り出したが、基地長と総務が素早く制止し、死傷者を出さずに事態は収束した。現在、張保皐基地には第13次越冬研究隊所属の隊員18人が昨年11月から派遣勤務を行っている。

 問題はその後だった。制圧されたA氏は、基地長と総務の説得により、非常避難棟に隔離された。しかし、治安要員がいないため、自傷行為などの突発的な事態に備えるべく、基地の総務がA氏と同じ空間で生活せざるを得なかった。非常避難棟は宿舎があるメイン棟に隣接しており、不安を感じた一部の隊員たちは、A氏を早急に基地から退去させるよう要求したという。

 これを受け、A氏の送還のために極地研究所の関係者が南極現地に急派されたが、交通手段の手配に時間がかかり、帰国までに丸28日を要した。韓国から出発した送還チームは、ニュージーランドとマクマード基地(米国南極基地)を経由し、軽飛行機で張保皐基地へ移動し、A氏の引き渡しを受けて再び「マクマード基地→ニュージーランド→オーストラリア」の順で、同日午後に仁川(インチョン)国際空港に到着した。極地研究所の関係者は「滑走路や管制なしに海氷の上に着陸できる軽飛行機を手配する問題や、現地の気象変動などの要因により、少なからぬ時間がかかってしまった」と説明した。

 このため、A氏は事件発生後も張保皐基地にさらに24日間滞在せざるを得ず、不安な隔離状態が3週間以上続いた。警察は同日入国したA氏の身柄を確保した後、慶尚北道警察庁へ移送し取り調べを行う方針だ。

 孤立した環境で少人数が共同生活を送る南極基地では、暴行事件が発生しても外部に遅れて知られることが繰り返されてきた。2009年、世宗(セジョン)科学基地で酒に酔った総務が調理隊員を暴行した事件があったが、監視カメラ(CCTV)の映像が削除されるなど事件が隠蔽された疑いがあるなか、発生から2カ月が過ぎてようやく外部に知られた。2020年代初頭にも世宗基地の隊員間で暴行事件が発生したが、むしろ被害者が先に帰国させられた事実が昨年になって遅れて明らかになることもあった。

 極地研究所は越冬隊の選抜過程における審査を強化し、基地内の対立状況に対する現地対応力を高めるための後続措置を準備している。極地研究所の関係者は「南極基地という環境の特性上、事件・事故の予防に焦点が当てられていたのは事実」だとし、「今回の事件を機に、対策の強化に乗り出す予定」だと述べた。

 イム・ミエ議員は「南極という特殊な状況とはいえ、被害者と加害者の完全な分離策、さらには極限状況で任務を遂行する隊員たちの心理状態・衝突の管理対策に対する改善が必要だ」と指摘した。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1258175.html韓国語原文入力:2026-05-12 01:17
訳H.J

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