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防御壁を破壊して垂直下降する「北極の寒波」…2月にも到来するのか

登録:2023-01-28 04:15 修正:2023-01-28 09:27
[ハンギョレS]「北極の寒波」とは?
全国に寒波特別警報が出された25日午前、ソウルの光化門広場を歩いている市民/聯合ニュース

 1970~80年代の子どもたちの間で繰り返された論争は、韓国製ロボット「テコンV」と日本製の「マジンガーZ」が対決したら「どちらが勝つか」だった。テコンVの方がが圧倒的に体格(身長56メートル)が良いうえ、テコンドーに特化した格闘技術まで持っているため、1対1の対決ではマジンガーZ(身長18メートル)を簡単に制圧するという声が強かった。反対派は、光子力ビーム、ルストハリケーン、冷凍光線などの先端兵器で武装したマジンガーが距離を取ってアウトファイトを繰り広げれば、いくらテコンVでもやられてしまうという主張で対抗した。

 冬であれば、ロボット対戦と似た水準のもう一つのおなじみの論争の種は「南極と北極のどちらが寒いか」というものだった。この問題は比較的答えが明らかで、正解は「南極」だ。韓国科学技術情報研究院は「北極の平均気温は氷点下35~40度である一方、南極は氷点下55度に達する。大陸で形成されている南極は地上の氷が日光を反射するが、海で形成されている北極は熱を吸収し溜めこむため、南極より暖かい」と解説する。

 南極の寒波の方が厳しいとはいうものの、朝鮮半島の人々を直に苦しめるのは北極から下ってくる寒さだ。北極の寒波は「冬将軍」とも呼ばれる。1812年のナポレオンのロシア遠征敗退の原因の一つだった厳しい寒さについて、当時の英国のメディアは「ジェネラル・フロスト(general frost 霜将軍)」という比喩を使った。日本で「冬将軍」と翻訳調で呼ばれていたこの表現が、韓国にまで伝わったのだという。このため、1960~70年代の天気に関するメディア報道を見ると、「冬将軍の急襲」、「冬将軍の帰還」、「最前線に冬将軍の前哨兵」、「冬将軍、止まれ」、「大寒、冬将軍呼び厳しく号令」のように厳しい寒さについての面白い比喩が見られる。

 北極の寒波はなぜやって来るのだろうか。北極では、冷たい空気の塊が反時計回りに丸く帯を描くように回る「極渦」現象がみられる。この空気の塊がそのまま南下すれば深刻な寒波が日常となるだろうが、幸い極渦の外にはさらに大きな帯を描くように「ジェット気流」が流れているため、これが南下を防ぐ防御壁の役割を果たす。しかし時にジェット気流の力は弱まり(負の北極振動)、そうなった時に寒波がやって来るのだ。残念ながら地球温暖化の深刻化でジェット気流が弱まるケースは次第に増えるという。気象庁は「地球温暖化で北極の気温が上がる代わりに、中緯度地域では異常低温現象が発生する」と説明している。

 北極の寒波は次第に勢いを増している。25日のソウルの最低気温は氷点下17.3度。体感温度は氷点下24.7度まで下がった。同日の江原道鉄原郡金化邑(チョルウォングン・キムファウプ)の気温は氷点下25.1度だった。気象情報提供企業「アキュウェザー」によると、最近の南極の気温は氷点下25度前後で、「韓国の方が南極より寒いみたいだ」という話が単なる冗談では済まなくなってきている。

 今冬の冬将軍との同行はいつまで続くのだろうか。気象庁は最近の「3カ月(2~4月)の見通し解説書」で、「現在(寒波が来やすい)弱い負の北極振動状態にあるが、1月下旬には中立状態を示し、正の北極振動として現れる可能性がある。正の北極振動となれば、気圧計の東西の流れが円滑になり、気温は平年並みか高くなる可能性がある」と述べている。冬将軍が退却する日はそれほど遠くない。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1077266.html?_ns=c1韓国語原文入力:2023-01-27 17:49
訳D.K

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