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「どうか平壌に送還してください」…「平壌市民」キム・リョンヒさん、6年間裁判中

登録:2026-02-28 06:54 修正:2026-02-28 09:01
2011年、脱北ブローカーにだまされて韓国に
キム・リョンヒさん(57)が27日午後、大邱地方裁判所前で開かれた「平壌市民キム・リョンヒ送還推進委員会」の記者会見で発言している=キム・ギュヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 「裁判長、15年前に生き別れた娘はもう成人になりました。母親が最も必要な年ごろに、私は娘のそばにいてあげられませんでした。この残酷な現実が果たして(大韓民国の)憲法が守ろうとする価値なのでしょうか」

 27日午後、大邱地裁刑事10単独のノ・ジョンチャン裁判官の審理が行われる別館2号法廷で、「平壌(ピョンヤン)市民」のキム・リョンヒさん(57)は涙声で訴えた。国家安全法違反などの容疑で2020年に起訴されたキムさんは、6年間にわたり一審裁判を受けている。裁判部が何度も変わり、裁判が遅々として進まなかったためだ。この日は昨年2月の最後の公判から1年ぶりに開かれる公判日だった。

 2011年、治療のために北朝鮮から中国に渡ったキムさんは、脱北ブローカーにだまされてタイとラオスを経て韓国に来た。キムさんは一貫して北朝鮮に帰ることを望んでいた。2013年に偽造パスポートを作成し出国を試みたことで、 国家保安法違反の疑いで一度有罪判決を受けた。その後、2016年にベトナム大使館を訪れ、亡命申請を行ったこともある。だが、何度も失敗した。

 キムさんにとって韓国は「鉄格子のない刑務所」だった。国家保安法違反の疑いで15年間、警察・検察・裁判所などの司法機関に数えきれないほど出頭しなければならなかった。パスポートの発行禁止や出国禁止措置も依然として続いている。キムさんは自分のフェイスブックなどに北朝鮮の記事を共有し、「私の故郷は平壌」と書いたり、平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックに来た北朝鮮選手団と挨拶を交わす写真を投稿し、故郷に思いを馳せた。検察はこのような行為を「国家の存立安全や自由民主的基本秩序を危うくする」目的で反国家団体の北朝鮮を称賛・鼓舞する疑いがあるとみなした。

「平壌市民キム・リョンヒ送還推進委員会」は27日午後、大邱地方裁判所前で記者会見を開き、国家保安法違反の疑いで6年間にわたり裁判を受けているキム・リョンヒさんに対する無罪判決を求めた=キム・ギュヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 「私はただ平壌に置いてきた夫と娘、年老いた両親のことを想い、そこでの生活を懐かしんでいただけです。故郷を恋しがる気持ちがどうして国家の安全保障を脅かす刃になるのでしょうか」。被告人供述の機会を得たキムさんは、あらかじめ準備した原稿を読み上げながら、検察の起訴事実に一つずつ反論した。

 キムさんの弁護人は「無罪判決」または「起訴取り下げ」を主張した。昨年10月、国会の法制司法委員会の国政監査で、チュ・ミエ法制司法委員長がこの事件に関連して「人道的解決策が必要だ。積極的に起訴取り下げなどを検討してほしい」と要求し、チョン・ソンホ法務部長官は「方法を積極的に検討してみる」と答弁した。

 市民たちによる「平壌市民キム・リョンヒ送還推進委員会」はこの日、大邱地裁前で記者会見を開き、「韓国の司法はこれ以上冷戦の遺物である国家保安法の後ろに隠れて一個人の人権を無視してはいけない。6年という長い裁判過程自体がキム・リョンヒさんにとっては厳しい刑罰だった」とし、「裁判所は出国禁止で縛りつけ裁判を長引かせる人権弾圧をやめ、直ちに無罪を宣告すべきだ」と要求した。

 「法律は人を閉じ込めるために存在するのではなく、不当な扱いを受けた人を救済するためにあるものだと考えています。私はただ道を間違えて(韓国に)流れてきた旅人です。私が残りの人生を家庭に戻り、普通の妻であり母として生きられるよう、賢明な判断をお願いします」と、キムさんは韓国の司法に訴えた。

キム・ギュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1246967.html韓国語原文入力:2026-02-27 17:21
訳H.J

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