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不二越強制労働「朝鮮人の教え子たちを守れず、罪悪感にさいなまれた母」

登録:2026-02-26 08:01 修正:2026-02-26 09:03
「不二越強制動員」謝罪求める韓日デモ
25日、富山県にある機械・部品メーカーの不二越の本社前で、市民団体「北陸連絡会」などの韓日の市民が、日帝強占期の勤労挺身隊被害者に対する謝罪と賠償を求めている=ホン・ソクジェ特派員//ハンギョレ新聞社

 「母は教え子たちを勤労挺身隊に送ったという思いから、死ぬまで罪悪感を抱えて生きていました」

 25日、富山県にある機械・部品メーカー「不二越」の富山本社前で、朝鮮人勤労挺身隊の強制動員の被害者に対する謝罪と賠償を不二越に求める韓日市民のデモが行われた。不二越の株主総会の日に行われたこのデモには、母親が日帝強占期(日本による植民地時代)の朝鮮で教師を務めていた若谷政樹さん(76)も参加した。若谷さんは前日のハンギョレとのインタビューで「太平洋戦争時、幼い朝鮮人の子どもたちがなぜ日本で強制労働をさせられなければならなかったのか」、「不二越は過去の過ちについて謝罪し、強制労働の被害者と遺族に賠償すべきだ」と強調した。

 若谷さんの母親ののりこさんは、仁川の松ヒョン公立国民学校の教師を務めていた1944年、7人の教え子が不二越の軍需品製造工場に向かうのを見守った。太平洋戦争末期、日本政府は軍需物資の生産に必要な人手を補うため、植民地朝鮮から当時の国民学校の生徒たちまでも強制動員した。朝鮮総督府の機関紙「毎日新報」1944年7月4日付けには、「仁川府(現在の仁川市)女子勤労挺身隊の募集に応じて、松ヒョン国民学校の卒業生27名が応募、13名が合格した」と記録されている。

 「日本に行けば女の子も勉強できる」、「大金を稼げて親に送れる」といった嘘にだまされて日本に行った子どもたちは数知れない。しかし、現実は異なっていた。小学生くらいの子どもたちが、鉄製部品を切ったり削ったりして軍需物資を作らされた。1日14時間労働が日常だった。機械を扱っているときに指を切ったり、髪の毛が機械に巻き込まれて大けがをしたりといったことも多かった。食事はおにぎり2つ。不二越強制動員の被害者たちは「一人でも仕事を終わらせられない人がいると(全員)ご飯がもらえず、草までむしって食べた」と証言する。のりこさんは教え子たちを守れなかったという罪悪感を抱え、彼らと撮った写真を一生大切にしていたが、2019年に亡くなった。息子につらい記憶を語ったのも、わずか10年ほど前のことだが、具体的な当時の状況や自分の位置などについては語らなかったという。

1944年9月に松ヒョン公立国民学校の教師だった若谷のりこさんが教え子たちと撮った写真=植民地歴史博物館提供//ハンギョレ新聞社

 韓国の最高裁判所は2024年、不二越強制動員の被害者が起こした損害賠償訴訟で、被害者1人当たり8000万~1億ウォンの賠償を不二越に命じる判決を下した。しかし不二越は日本製鉄などの他の日本の強制動員加害企業と同様、1965年の韓日請求権協定を理由に判決の履行を拒否している。

 韓日の間で最大の争点となっていた最高裁の強制動員賠償判決について、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は2023年3月、日本の加害企業を韓国行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団が肩代わりして被害者に判決金(賠償金や訴訟費用など)を支払う「第三者弁済案」で取り繕おうとした。李在明(イ・ジェミョン)政権も既存の合意を尊重するとの方針だ。

 被害者の遺族や、30年以上にわたり不二越の被害者を支援してきた市民団体「北陸連絡会」をはじめとする韓日の市民の取り組みは続いている。毎年、不二越の株主総会に出向き、謝罪して韓国司法の決定に従うよう求めている。25日にも被害者の故イム・ヨンスクさんの夫、キム・ミョンベさん(95)が富山を訪れ、「私の妻は幼い時分に富山の不二越に連れて来られ、強制労働させられた」、「不二越はなぜ戦犯企業として断罪した韓国司法の判決に従わないのか」と批判した。

 しかし、この日も不二越は「強制連行、強制労働の事実はない」と主張。右翼団体が10台以上の黒いバンでやって来て「違法行為はなかった」と叫び、市民への威嚇を繰り返した。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「不二越は法的、歴史的責任から永遠に逃れることはできない」とし、「最高裁判決に従って賠償し謝罪することこそ、歴史正義にかなう最善の解決策」だと述べた。

若谷政樹さんが24日、ハンギョレのインタビューに応じている=ホン・ソクジェ特派員//ハンギョレ新聞社
富山/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1246547.html韓国語原文入力:2026-02-25 17:49
訳D.K

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