「最も懸念しているのは、現政権(尹錫悦政権)と統一教会の癒着が浮き彫りになることです」
尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領による12・3非常戒厳計画が失敗に終わり、尹前大統領の弾劾訴追案が可決された後の2024年12月23日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の財政を統括していたL元世界本部財政局長は、チョン・ウォンジュ元総裁秘書室長にこのような内容のショートメッセージを送った。尹前大統領が最終的に罷免され、旧統一教会政教癒着の合同捜査本部が発足するまでの1年あまりの状況を予見したかのように、L氏は「統一教会ゲートへと拡大するのではないかと心配」だと語っていた。チョン元室長は韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を数十年間にわたって補佐していた「ナンバーツー」で、L元局長はもう一人の実力者であるユン・ヨンホ元世界本部長の妻だった。尹前大統領と特殊な関係を結んでいた旧統一教会は、彼の没落とともに教団の危機を予感していたというわけだ。
14日のハンギョレの取材によると、このメッセージは先月28日に言い渡されたキム・ゴンヒ女史(尹前大統領の妻)の資本市場法違反などの容疑に対する判決に添付されていたもの。資本市場法違反、政治資金法違反の各容疑について無罪を言い渡されたキム女史は、旧統一教会から金品を受け取った疑い(斡旋収賄)については有罪が認められた(懲役1年8カ月)。裁判所は旧統一教会の「政教癒着」疑惑を裏付ける重要な証拠としてこのメッセージを採用した。
L氏はチョン元室長に送ったメッセージで、「現在、韓国は非常戒厳の影響で、弾劾後に早期大統領選挙へと進めようとする左派の激しい政治攻勢が頂点にある。これには李在明(イ・ジェミョン)代表の司法リスクを突破したいという下心がある」とし、「もしそのようなシナリオが実現したら、われわれ統一教会は完全に試練のどん底に落ちる可能性もある」と述べている。L氏がいわゆる「左派」と表現した尹前大統領の反対勢力に敵意を示したのは、「TM(韓鶴子総裁を意味する「真のお母様」)の意志で2022年の大統領選挙に介入しており、24万票差という薄氷の選挙で『朝鮮半島平和サミットと100万救国救世大会』で尹大統領を支持したから」だと説明できる。
「幸いにも選挙は保守の勝利でした」。L氏は、夫であるユン元本部長が第20代大統領選の結果発表当日、尹前大統領の側近から送られてきた「大統領の感謝のあいさつをその日の朝会で直に伝えた」とも強調している。「その後も随時、懸案をTMに報告したと聞いている」とも述べている。L氏は「このように信頼が築かれていく中で(2022年)3月23日の2時にユン本部長が大統領と特別ミーティングを持つことになり、TMに対するすべての言葉と贈り物を伝えたという」として、「その後も政府と非常に緊密な関係を持った。最近もユン本(ユン・ヨンホ元本部長)は(尹前大統領の)弾劾(訴追)後、右派の院内代表選任をめぐってクォン議員(クォン・ソンドン)を直に説得したという」と述べている。実際に、「国民の力」のクォン・ソンドン議員は非常戒厳直後の2024年12月12日に党の新たな院内代表に選出された。L氏のメッセージには、クォン議員が自ら天正宮(チョンジョングン)を訪ねて韓総裁と2度会い、「贈り物」と「金一封」を受け取ったという内容や、韓総裁の指示でキム女史に「グラフのネックレス」を贈った際に「国母としての品格を持たなければならない」と言ったという内容も含まれている。
L氏は「問題は、現在の大韓民国の状況をめぐって、今回の問題がひとつの事件として検察による調査に至るのか、あるいは大統領選の問題と今回の問題を結びつけて統一教会ゲートへと拡大するのかが心配」と述べている。「そうなった場合、検察の調査はもちろん、報道とともに現在の争点の頂点にあるキム・ゴンヒ特検法とも絡み合い、国会の特検調査にまで拡大する可能性があるともいわれる」との懸念も示している。当時は「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏の事件を担当していたソウル南部地検が、L氏の夫であるユン元本部長に対して強制捜索(2024年12月27日)を行う4日前だった。L氏の懸念通り、実際に検察は請託禁止法違反容疑でユン元本部長の手帳、携帯電話、ノートパソコンをすべて押収し、これらの資料から政教癒着の要となる証拠を発見した。
「複数の問題が一気に津波のように押し寄せることを懸念しています」。尹前大統領が昨年4月に弾劾され、李在明政権が新たに発足するに伴い、キム・ゴンヒ女史に関連する疑惑を捜査するミン・ジュンギ特検チームが発足。特検チームは、キム女史によるシャネルのバッグやグラフのネックレスなどの金品受け取り疑惑にとどまらず、クォン議員が現金1億ウォンを受け取っていたことまで把握し、ユン元本部長はもちろんキム女史、クォン議員、韓総裁をいずれも拘束起訴した。その後、「共に民主党」のチョン・ジェス議員ら与党関係者も現金を受け取っていたという疑惑が持ち上がり、検察と警察の合同捜査本部が発足するなど、事件は「統一教会ゲート」へと拡大した。
L氏はメッセージで「ユン本(ユン元本部長)はただ事実の通りに対応しようとして苦心しているようだ」と述べている。しかし韓総裁ら首脳部は、政界との接触の試み、金品の供与はすべてユン元本部長個人の逸脱だと主張している。L氏はメッセージで「この問題が拡大し、私たちの存立自体を揺るがす問題にもなりうるため、ユン本がまず室長に連絡した」として、「責任を転嫁するのではなく、核心指導者だからこそ当然知っておくべきだから」と述べている。旧統一教会内部では、拘束を免れたチョン元室長こそより大きな責任を負うべきだという声があがっている。捜査初期にキム女史にブランド物のネックレスが供与されたという疑惑を教団の立場として否定しているが、すでにチョン元室長は事実関係を把握していながら積極的に対処できていなかった、との指摘だ。昨年9月に拘束された韓総裁の収監生活が長引く中、教団内部には「息苦しく疲弊した雰囲気」が濃厚に漂っているという。