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「西海の構造物」調査に乗り出した韓国の調査船、中国の海洋警察と再び対峙

登録:2025-10-29 06:20 修正:2025-10-29 07:20
2月に続き先月も対峙 
外交部「調査活動は完了」
中国が西海の暫定措置水域(PMZ)に設置した構造物「深藍2号」の様子=新華社通信の微博アカウントより//ハンギョレ新聞社

 先月末、西海(ソヘ)上の韓中暫定措置水域(PMZ)で、中国が無断で設置した構造物の点検に行った韓国の調査船と中国の海洋警察との間で、対峙状況が発生したことが分かった。2月に続き7カ月ぶりに再び起きた対峙状況だった。当時、韓国の調査船の調査活動は予定通り完了したと、政府は説明した。

 米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は27日(現地時間)に公開した報告書「PMZでの韓中対峙」で、「PMZをめぐり、9月末に韓中間の緊張が再び高まった」と明らかにした。

 CSISが海洋情報会社「スターボード海洋情報」の自動識別システム(AIS)で資料を分析した内容によると、先月24日、海洋水産部傘下機関の海洋調査船である「オンヌリ号」が西海のPMZに進入した。それから約6時間後、中国海洋警察の警備艦1隻がオンヌリ号の方へと接近し、青島地域の港から出発した中国海洋警察の艦艇2隻がさらに投入された。

 韓国海洋警察の艦艇も、オンヌリ号を支援するため同地域に接近してきた。翌日の25日、オンヌリ号と韓国海洋警察の艦艇は、中国がPMZに設置した養殖構造物「深藍」1号と2号に接近した。オンヌリ号が施設点検のために構造物に近づくと、中国の艦艇2隻がオンヌリを両側から取り囲んだ。 中国の艦艇2隻は構造物の周辺を通って帰港するオンヌリ号と韓国の艦艇を15時間追跡し、両船舶がPMZを離れた後に追跡を止めた。

 報告書は「両国の船舶は最も近い時は3キロメートル(1.7海里)まで近接した」と述べ、今回の事件が2月に発生した韓中対峙状況と類似しており、中国が紛争海域に一方的に設置した海洋構造物の周辺で意図的に存在感を誇示し監視活動を続けるパターンを示していると指摘した。これに先立ち、2月26日にもオンヌリ号がPMZで中国の鉄骨構造物の点検に乗り出したが、これを中国海洋警察が阻み、両国の海洋警察が対峙する状況が発生した。

 報告書はまた「PMZ内で韓国船舶の航行を制限しようとする中国の試みは、すべての外国船舶に対して排他的経済水域(EEZ)内での航行の自由を保障する『海洋法に関する国際連合条約』(UNCLOS)を明確に違反している」と指摘した。

 また「中国が海洋警察を動員してPMZの境界を巡察し、韓国政府の船舶や調査船を追跡する行為は、厳密に言うと、両国の協定やUNCLOSに違反しているわけではないが、南シナ海と東シナ海で中国が紛争水域の統制権を強化するために使用してきたグレーゾーン戦略と似ている」とも分析した。

 韓国外交部の当局者はこれに関して「中国側の『同調機動』があったが、直接的な妨害はなく、韓国の調査船が調査活動を正常に完了したと聞いている」とし、「韓国の海洋警察も中国側の調査船を発見した時に同様に対応している」と述べた。「同調機動」とは、中国の海洋警察船が韓国の調査船を阻止したのではなく、ずっとついて回ったという意味だ。

 中国は深海のサケの養殖施設だとして、韓中のEEZが重なるPMZに「深藍」1号(2018年)と2号(2024年)を設置しており、2022年には管理施設だとして石油ボーリング設備の形をした構造物も設置した。これについて、中国が西海での影響力を拡大し、領有権主張のための根拠を作るために設置したものではという疑念の声があがってきた。韓国政府も何度も中国に懸念を示し、是正を求めてきた。

 韓米、韓中、米中首脳会談が差し迫った中で、米国側もこの事案に注目しており、外交的緊張がさらに高まる可能性もある。

 チョ・ヒョン外交部長官は同日、国会外交統一委員会の総合監査で、「西海における中国の構造物の位置が平沢(ピョンテク)米軍基地と近い要衝地」という指摘について、「米国もこの問題を深刻に捉えていることを把握している」とし、「米国とどのように(対応)するかについては、もう少し状況を見守りながら検討する」と述べた。

 さらに、今回の韓中首脳会談で責任者が会うだけに、西海の構造物と関連して「韓国国民に不快感を抱かせることは中国も控えるべき」という話をする必要があるというキム・ヨンベ議員(共に民主党)の指摘に対し、チョ長官は「円満で可視的な成果を上げるよう務める」とも語った。

パク・ミンヒ先任記者、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1225965.html韓国語原文入力: 2025-10-28 18:26
訳H.J

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