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李大統領が対米投資で「日本ではなくEU方式から学ぶ」と言及したわけは

登録:2025-10-28 06:24 修正:2025-10-28 07:21
李在明大統領が24日、ブルームバーグ通信とのインタビューに応じている=ブルームバーグTVより//ハンギョレ新聞社

 29日に予定されているドナルド・トランプ米大統領との関税交渉談判を前に、李在明(イ・ジェミョン)大統領は「日本方式」ではなく、「欧州連合(EU)方式」を好むという意向を明らかにした。韓国政府が投資主体であり、収益配分が不公正な日本方式の交渉妥結は避けるという意志を表明したものとみられる。

 イ大統領は27日に公開された米ブルームバーグ通信とのインタビューで、「すべての主要な細部事項が膠着状態に陥っている」として、米国と日本の交渉事例よりも「EUがトランプ大統領と交渉した方式から学ぶことができる」と述べた。日本とEUはトランプ大統領との合意を通じて関税を引き下げたが、その内容はかなり異なる。

 9月に締結された米日投資了解覚書(MOU)は5500億ドルの対米投資の財源を調達する主体が日本政府であり、米国が投資目的別の特殊目的法人(SPV)を設立し投資先を決めたら、日本は2カ月後に現金を調達しなければならない。一方、8月21日に発表された「米-EU貿易共同声明」で、EUは米国産エネルギーの購入と共に「欧州企業が2028年までに米国の戦略分野に6000億ドルを投資するものと期待される」と明示した。欧州企業が投資を決定し、利益が出れば収益を受け取る構造だ。

 大邱大学のキム・ヤンヒ教授は、「米日投資了解覚書を韓国が反面教師にすべきだ」とし、二つの毒素条項を指摘した。まず、投資対象の最終選定権をトランプ大統領個人が持っている点だ。米日了解覚書第1、3、4条によると、日本が出した5500億ドルの投資先を米国国家機関ではなく、トランプ大統領個人が決めるようになっている。この点はウォール・ストリート・ジャーナルなど米国メディアもトランプ大統領の私益追求に悪用されかねないと批判している。キム教授は「収益配分の問題はさらに深刻だ」と指摘する。「日本の投資金で収益が発生すれば、何も投資していない米国が投資関連の便宜を提供した見返りとして巨額を持っていくことになっており、日本は約定した投資金額を満たさなければ利子収益を一銭ももらえない構造」ということだ。キム教授は「このようなやり方で米国は何もせず元金と利子を自分のものにできるため、『投資』ではなく事実上『朝貢』」だと語った。さらに「投資決定権と収益配分に対する明確な安全装置を設けず急いで合意してはならない」と強調した。

 問題は韓国が米国と「EU方式」の合意が可能かどうかだ。韓国金融研究院のチ・マンス上級研究委員は「李大統領は『EU方式』に言及することで、商業性と透明性の原則によって対米投資を行うという原則を強調したものとみられる」とし、「今、韓米間の交渉がそのような内容で進められているという意味ではないと思われる」と指摘した。米国がEUの戦略的重要性、EUと合意をしても加盟国が全て従うわけではない現実などを考え、相対的に「穏健な合意」をしたが、韓国とそのような合意をする可能性はきわめて低いという分析だ。

 チ研究委員は「李大統領は明確な原則を固持しており、米国の交渉実務者たちは『トランプ大統領が気に入るような案』になるよう圧力を加えているものとみられる」とし、「29日の韓米首脳会談で、李大統領とトランプ大統領の政治的決定に韓米関税交渉の妥結可否と内容がかかっている」と語った。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1225727.html韓国語原文入力:2025-10-27 20:43
訳H.J

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