27日にマレーシアのクアラルンプールでASEAN+3首脳会議が開かれた後、31日〜11月1日にはアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が慶尚北道慶州(キョンジュ)で立て続けに開催される。「首脳外交のスーパーウィーク」だ。首脳外交は、国益のために各国首脳のリーダーシップが競争と協力で鎬(しのぎ)を削る試験場だ。李在明(イ・ジェミョン)政権は国益と実用を最優先し、最後まで最善の努力を尽くしてほしい。
APEC首脳会議は毎年開かれるが、関税戦争、米中貿易紛争などが重なった現状況で開かれる今回の会議は、世界の注目度が例年とは異なる。韓国にとっては、韓米首脳会談で米国との関税交渉がまとまるかどうかが大きな関心事だ。ドナルド・トランプ大統領は「妥結間近」だとして、「彼ら(韓国)の(妥結に向けた)準備ができ次第だ。私は準備ができている」と述べた。韓国の3500億ドルの対米投資パッケージの構成と履行案などをめぐり、米国が最後の譲歩を要求しているものとみられる。米国との信頼関係を構築しつつも、国益と商業的合理性を失わないことを望む。
今回のAPECで、韓国は韓中首脳会談(11月1日)のほかに韓日首脳会談の日程も調整している。周辺国である中国や日本との間に残っている重苦しい空気を、今回を機に「真摯な意思疎通」で解消しなければならない。11年ぶりに国賓として訪韓する中国の習近平国家主席との首脳会談は韓中関係修復の出発点としなければならず、極右色が懸念されている日本の高市早苗新首相とも前向きな韓日関係が保たれるようにする必要がある。
これとともに全世界が最も注目する場面は、30日に開かれる米中首脳会談だ。最近、レアアースの輸出規制と関連して米中間の神経戦が繰り広げられているが、今回の会談で外交的折衝を通じて貿易分野の緊張緩和が実現するという期待が高まっている。さらに、トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の「サプライズ会合」の可能性も取りざたされている。トランプ大統領は「会合に100%開かれている」というシグナルを送っているが、金委員長は沈黙を守っている。今のところは実現の可能性は高くないかもしれないが、最後まで注目せざるを得ない。
今回のAPEC首脳会議では、韓国は開催国として会議全体を安定的に行い、世界における韓国の地位をさらに高める契機にするとともに、米中日などとの二国間会談を通じて韓国の国益を守るという二つの課題を同時に遂行しなければならない。全方位的な外交課題の前に国益と実用を最優先し、緊張感を失わず、細心の注意を払ってほしい。