チョン・ドンヨン統一部長官候補は24日、統一部という省庁の名前を変えることも検討する段階になったと述べた。
チョン候補は24日、人事聴聞会の準備に向けソウル三清洞(サムチョンドン)の南北関係管理団に出勤する途中、記者団に「まず平和を定着させることが5千万の国民の至上命令であり、至上課題だ」としたうえで、「平和と安定を構築した土台の上で統一も模索できるため、統一部の名称変更も積極的に検討する必要がある」と語った。
チョン候補の発言は、断絶した南北関係を復元するには変化した朝鮮半島情勢を認めることから出発しなければならない、という「現実主義」が反映されたものとみられる。これに先立ち、北朝鮮が2023年末に南北関係を「敵対的な二国間」関係と規定して以来、政府内外では北朝鮮との対話を再開するためには、統一部も省庁名から「統一」を消す必要があるという声があがった。チョン候補はこの日、ドイツのブラント政権が東ドイツと和解政策を進める際、韓国の「統一部」の名称に当たる「全ドイツ部」を、東西ドイツ関係部を意味する「内ドイツ部」に変更した事例に触れ、「統一は馬車であり、平和は馬に当たるが、馬車が馬を引くことはできず、馬が前で(馬車を)引っ張らなければならない」と述べた。
統一部の最初の課題としては、南北間での意思疎通不在の状況を解消することを挙げた。チョン候補は「南北は6年間完全に断絶していた」とし、「連絡チャンネルを復元し、偶発的衝突を防ぐことが急がれる」と述べた。「朝鮮半島平和特使」として北朝鮮と直接接触を試みる計画があるのかという質問には、「(長官として)承認が得られれば、一つひとつ方法論について構想を立てていく」と答えるにとどまった。
チョン候補は、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の3年間、完全に断絶したまま、一触即発の危機」だった南北関係が、ビラ散布の中止要請と北朝鮮向け拡声器放送の中止、そして北朝鮮の韓国向け放送の中止で変わりつつあると評価した。それと共に「対北朝鮮ビラは南北対立の触媒剤だった」とし、「対北朝鮮ビラを散布してきた団体が散布を中止する方針をを決めたことを高く評価する」と述べた。チョン候補は、北朝鮮へのビラ散布を主導してきた拉致被害者家族会のチェ・ソンヨン代表と同日午前に直接電話で話した事実を公開し、「ビラ散布を見直すという決断を下したことを高く評価し、会って具体的な話をすることにした」と明らかにした。
北朝鮮が南北関係を「敵対的二国間関係」と規定した状態で、北朝鮮との連絡チャンネルの復元は可能かという質問には、「こうなったのは尹錫悦政権時代のことであり、今や尹錫悦政権は歴史の中へと消えた」とし、「新政権と共に新たな南北関係の確立を模索することが重要だ」と答えた。
朝米関係については「2018年6月12日の(北朝鮮と米国の)シンガポール合意が尊重されなければならず、2019年2月28日のハノイ会談が決裂したのは非常に遺憾であり、これを妨害したネオコンの責任が重い」と述べた。それとともに「その延長で米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の首脳会談は行われるだろうし、行われるべきだと思う」とし、「それが朝鮮半島の緊張緩和と平和安定に大きく役立つため、支持する」と語った。
米国とイスラエルのイラン核施設攻撃が北朝鮮の核問題に及ぼす影響については「朝鮮半島で永遠に戦争の可能性を追放することが我々の責務」だとし、「北朝鮮核問題も平和な方法で外交的な手段を動員し、対話を通じて解決しなければならない課題であり、いかなる場合にも武力による解決、戦争を通じた解決というのは想像できないこと」だと強調した。
北朝鮮のロシア派兵でウクライナに捕虜となっている北朝鮮軍兵士を韓国に連れてくるかどうかについては、「非常に敏感な問題」だとしたうえで、「熟考してみる」と述べた。
チョン候補は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に第31代統一部長官を担当しており、約20年ぶりに再び統一部長官候補となった。