「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏を通じて尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史に金品を渡そうとした疑いで検察の捜査を受けている統一教会(世界平和統一家庭連合)のY元世界本部長が、教団から除名処分を受けた。Y元本部長側は「正論直筆」の名義でこれに抗議しつつ、「特検は必ず真実を明らかにするだろう」とまで記しているため、Y元本部長がより積極的にキム女史に関する疑惑の捜査に協力する可能性も予想される。
Y元本部長の立場を代弁しているとされる「正論直筆」は20日に発表した報道資料で、「統一教会はこの日午後、Y元本部長夫婦の懲戒委員会を開催し、司法的判断も下されていない状態で『除名』処分を決議した」と述べた。ただし統一教会は「処分の公文書発送までは最終確定ではない」との立場だという。
統一教会は先に、Y元本部長と財政局長を務めた妻のL氏に懲戒委への出席を求めることを通知していた。彼らがキム女史への請託疑惑にかかわったことの責任を問う、との趣旨からだ。統一教会世界宣教本部は検察の捜査の初期から、Y元本部長の請託疑惑に対して「個人の逸脱」だとして一線を引いてきた。統一教会内部では、Y元本部長に対する検察の捜査が統一教会の指導部に向かっていることを意識した「しっぽ切り」だとの批判の声があがってもいる。
「正論直筆」は、「Y元本部長は直ちに除名の効力停止の仮処分申し立て、および行政訴訟に着手する予定であり、天務院のチョン副院長および側近の不正、横領、非信仰行為についての公益資料を捜査機関に提出する」と述べた。さらに「真実は決して隠せない。特検は必ずこの真実を明らかにするだろう」とし、「今や統一家(統一教会)内の信仰良心者たちは沈黙することなく行動すべきだ」とも強調した。
Y元本部長側は「特検」にまで言及しつつ統一教会指導部を批判していることから、より積極的に検察の捜査に協力する可能性も予想される。これに先立ち、Y元本部長はこの日、懲戒委には出席しないとの意思を伝える内容証明で、「これまで、真のお母様(ハン・ハクチャ総裁)に対する召喚調査は一度も行われていない。それがなぜなのかについては、連合が考えれば分かるだろう」と強調した。検察で事実上「黙秘権」を行使してハン総裁ら統一教会指導部をかばってきたが、もはや我慢できないとの意思を伝えたと解釈される。
Y元本部長は、2022年の4月から8月にかけて統一教会の懸案についての請託を伝えるとともに、キム女史への贈り物名目のダイヤモンドのネックレスなどを「コンジン法師」チョン・ソンベ氏に渡した疑いなどで、検察の捜査を受けている。妻のL氏は、Y元本部長がキム女史に渡そうとしたシャネルの2つのバッグのうちの1つを購入した人物。