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「退職を余儀なくされ自営業へ」50歳以上の半数、最低賃金も稼げず=韓国

登録:2025-03-24 06:57 修正:2025-03-24 08:04
「高齢者の自営業への移動と低賃金労働」報告書
昨年7月、ソウル明洞の廃業した商店街に融資チラシ、告知書などが放置されている/聯合ニュース

 韓国で早期退職などにより労働市場から離脱し、自営業者になった50歳以上のうち、約半数は月平均所得が最低賃金にも満たないという研究結果が出た。生計維持のために「やむを得ず」自営業に飛び込んだ高齢の自営業者のうち、かなりの数が経済的に限界状況に追い込まれているという診断だ。

 23日、韓国雇用情報院が最近発表した報告書「高齢者の自営業への移動と低賃金労働」によると、1~17回目の韓国福祉パネル調査(2006~2022年)では「1年以上賃金労働者」だったが18回目のパネル調査(2023年)では自営業従事者に分類された人のうち、58.8%(269人)が50代以上だった。調査には1年前の所得などの情報が含まれるという点を念頭に置くと、2022年を基準にサラリーマンを辞めて自営業に飛び込んだ人5人のうち3人が50代以上という意味だ。韓国福祉パネルは約7千世帯で構成されている。

 50代以上の高齢の自営業転換者のうち約半分の48.8%は、月平均純所得(年間総売上から年間総費用を差し引いた金額で、社会保障寄与金控除前の所得)が最低賃金水準(2022年基準、月当たり199万4440ウォン)を下回った。自営業に飛び込む前、短くは数年から長くは数十年にわたり経済活動をしたにもかかわらず、自営業を始めてからはかなりの人が最低賃金も稼げずにいるという意味だ。

 所得が最低賃金未満だった自営業転換者の割合は、年齢が高い人や、雇用員のいない「一人社長」において高かった。具体的には50代の自営業転換者のうち(所得が)最低賃金未満の割合は28.7%、60才以上は75.8%。また、50代以上の自営業転換者のうち、「雇用員がいる」場合には最低賃金未満の所得約10.9%のみだったが、雇用員がいない場合には半分以上の56.3%が最低賃金未満の所得にとどまった。

 50代以上の自営業転換者のうち、純所得が最低賃金にも達しない人の割合が高いのは、従来の主な働き口から押し出され「泣き寝入り」し、すでに飽和状態の業種で生計型創業をする人々が多いためとみられる。報告書は「高齢の自営業者のうちの相当数が、賃金労働者として働いていた業種ではなく、他の分野で創業している」とし、「自営業が賃金労働に代わる良い働き口になるケースはごく少数」だと指摘した。

 実際、今回の研究で50代以上の自営業転換者のうち、流通サービス業と消費者サービス業を営む人の割合が53.8%と半分を上回ったことが分かった。これらの業種には生産性が低い飲食店や宿泊、個人サービスなどが含まれる。開店の敷居が低い代わりに、過当競争で収益性が低いためだ。

 このような零細低所得自営業者の状況は、2022年以降に厳しくなり続けていると推定される。報告書は「昨年末、政治的不安が発生した後、景気不況と消費沈滞が長期化するうえに、米国のドナルド・トランプ大統領2期政権が韓国経済に否定的な影響を及ぼすと予想され、自営業がさらに危うい状態になった」とし、「消費心理の萎縮は自営業者一人ひとりの問題に限らず、構造的問題であり、政治の安定と経済の活性化のための代案作りが必要だ」と指摘した。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1188449.html韓国語原文入力:2025-03-23 22:16
訳H.J

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