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内乱罪被告の尹錫悦大統領、釈放で「在宅裁判」へ…支持勢力扇動の可能性

登録:2025-03-09 08:26 修正:2025-03-09 08:32
尹錫悦大統領が8日午後、京畿道儀旺市のソウル拘置所から釈放され、支持者たちに挨拶しながら歩いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国検察は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束取り消しを決定した裁判所の判断を受け入れることにした。検察は拘束取り消し決定の不服手段である即時抗告も検討したが、違憲・違法の議論が避けられないと同時に上級裁判所でも拘束取り消しが受け入れられる可能性が少ないと判断し、釈放を決めたとみられる。しかし、尹大統領の釈放による影響は、今後さらに強まるものとみられる。

 ソウル中央地裁刑事25部(チ・グィヨン裁判長)は7日昼、尹大統領の拘束取り消し決定を下した。検察は予期せぬ拘束取り消しの決定にその後の対応策を容易に決めることができなかった。シム・ウジョン検察総長は同日夜遅くまでイ・ジンドン最高検察庁次長をはじめ最高検察庁部長と今後の対応策について話し合い、即時抗告の実益は大きくないという結論を下したという。ただし、内乱事態を捜査した検察非常戒厳特別捜査本部(本部長:パク・セヒョン高等検察庁長)は、即時抗告が必要だという主張を維持した。

 最も大きな争点の一つは、裁判所が拘束期間から除外する拘束前被疑者尋問(令状実質審査)期間を既存とは異なり「日付」基準ではなく「時間」基準で判断し、尹大統領の拘束を取り消したという点だ。拘束期間(10日、延長時は計20日)から除外される時間をさらに厳しくみなければならないと裁判所が判断したのだ。これは既存の裁判所と検察でなされた実務とは異なる結論だ。裁判所の基準どおりなら、以前に拘束後起訴された被告人たちも類似の争いを起こす可能性があり、今後も拘束期間の計算の算法が複雑になる。このため、検察内では即時抗告を通じてもう一度裁判所の判断を受けるべきだという意見があった。特に捜査チームはこのために即時抗告が必要だという立場を固守した。

 実際、最高検察庁も尹大統領の釈放決定を下す際に明らかにした立場で「(裁判所の決定は)拘束期間と不算入期間を『日付』を基準に算定するよう規定された刑事訴訟法の規定に明確に反するだけでなく、数十年間確固として運営された裁判所の判決例および実務例にも反する独自で異例の決定だ」とし、「これに対して特別捜査本部は裁判所の法理的に誤った決定を不服とし、これを是正する必要性があるという意見を開陳した」と述べた。しかし、シム総長はこのような立場を即時抗告ではなく、本案裁判で積極的な意見を開陳する方法で対応するよう捜査チームに指示した。そして検察は、裁判所の拘束取り消し決定翌日の8日の遅い午後、尹大統領の釈放を決め、長考を終えた。

 裁判所と検察のこのような決定で、尹大統領は自身の弾劾審判と内乱首謀容疑で起訴された刑事裁判を不拘束(在宅)の状態で受けることになった。刑事訴訟法では、同じ犯罪事実で再拘束をすることを原則的に認めていないため、尹大統領を内乱容疑で再び拘束することは事実上不可能なことだ。最高刑量が死刑という重大犯罪である内乱首謀の容疑で起訴された尹大統領が、在宅起訴の状態で裁判を受けることになり、今後少なからぬ影響が予想される。特に、尹大統領が拘束状態でも支持者結集を訴えるメッセージを数回発信していたことから、釈放後は本格的に弾劾反対勢力を糾合しようとする可能性が大きい状況だ。この場合、弾劾審判の宣告期日を前後に、韓国社会に深刻な対立が生じる可能性が高い。

チョン・ファンボン、チョン・ヘミン、ペ・ジヒョン、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1185992.html韓国語原文入力:2025-03-08 20:21
訳C.M

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