尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾審判が9合目を越え、最大野党「共に民主党」もイ・ジェミョン代表を中心に戦列を整えている。党指導部は全国の市道党に来月7日までに地域公約を報告するよう指針を下すなど、水面下の準備に乗り出した様子だ。政権交代の世論が優勢な中で、これといったライバルのいないイ代表の大統領当選が有力視されているが、大統領選挙の高地まで3つの峠があるとみられている。
■与党のネガティブ攻勢
早期大統領選挙を控えたイ代表の前に置かれた最も高いハードルは「反イ・ジェミョン感情」だ。民主党のある親イ・ジェミョン派議員は23日、ハンギョレとの電話インタビューで、「『弾劾反対』集会に行くと、『尹錫悦を守ろう』と言うのではなく、『イ・ジェミョンを逮捕せよ』と叫んでいた」とし、「与党はこれと言った公約なしに『イ・ジェミョン叩き』にしがみつくだろう」と語った。与党では最近「右傾化」の動きで支持拡大に乗り出したイ代表を狙って「右往左往する政治行動は国民の信頼を失うだけ」と攻勢を繰り広げている。
イ代表は「偽右傾化」という与党の攻勢に対抗し、週末の間フェイスブックに6件の投稿を行い、反撃に出た。イ代表は与党こそ「極右傾化」しているとし、「保守を僭称した守旧政党の『国民の力』が尹錫悦、チョン・グァンフン(牧師)を抱えこんで極右の本性を現し、見せかけの保守の役割まで投げ捨てて極右犯罪党の道に入った」と主張した。今回の大統領選を「過激主義対反過激主義の対決」とし、与党を極右として孤立させる戦略だ。
■過去の敗北を超える「統合」
「49対51」という陣営間の対決の様相で繰り広げられる大統領選挙で、総力戦に向けた党内統合もイ代表の課題だ。
民主党のある親文在寅(ムン・ジェイン)派の院外の人物は、「大統領選はどの党が党内選挙後も団結して合併集合で選挙を行うかがカギとなる」と述べた。2022年の大統領選当時、予備選の後遺症を収拾できず、「ワンチーム」で選挙に臨めなかったことが敗因になったという分析もある。キム・ギョンス元慶南道知事とキム・ブギョム元首相、イム・ジョンソク前議員、キム・ドンヨン京畿道知事、パク・ヨンジン元議員など党内の非主流候補たちはこれと関連し、最近イ代表に「統合」と「包容」を求めている。
イ代表もこのような問題を意識したかのように、彼らと相次いで面会し、統合に重きを置いている。親イ・ジェミョン派議員は「結局は党内選挙ルールを交渉する過程で、彼らがフロントランナーのイ代表に譲歩を要求し、これを少しずつ受け入れる過程につながるのではないか」と話した。
■3月のイ代表の控訴審
何よりも険しい峠は、大統領弾劾審判の判決後に結論が出ると予想されるイ代表の公職選挙法裁判の控訴審の結果だ。
3月中に控訴審の結果が出ると予想される中、党指導部は一審の当選無効刑(懲役1年執行猶予)が覆される可能性に神経を尖らせている。イ代表側は「司法正義」を叫び控訴審結果を楽観しているが、予断はできない。イ代表側はまた、控訴審でそのまま当選無効が言い渡されても、イ代表の大統領選挙の選完には影響がないと主張しているが、(党内の)非主流派は世論が大きく動揺する場合、状況が変わる可能性があるという期待を抱いている。