憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判で職権によって証人に採用されたチョ・ソンヒョン首都防衛司令部第1警備団長が、12・3非常戒厳の直前にイ・ジヌ首都防衛司令官(当時)に「空包の準備」を指示されていたと検察に供述したことが分かった。チョ団長は、国会への出動後にイ前司令官から「国会議員を引きずり出せ」と指示されていたことも検察に証言した。
イ前司令官は今月4日、憲法裁に証人として出廷し、刑事裁判が進められていることを理由にほとんどの陳述を拒否した。これを受けて憲法裁は6日、イ司令官の直属の部下であるチョ団長を職権で証人に採用した。憲法裁はチョ団長に対し、非常戒厳前後に受けた指示の内容、戒厳時の首都防衛司令部の役割などを問うものと予想される。
9日のハンギョレの取材によると、検察非常戒厳特別捜査本部(本部長:パク・セヒョン高検長)はチョ団長に事情聴取した際、「昨年12月3日午後10時5分にイ前司令官が、合同参謀本部の訓練のための抜き打ち招集とともに、空包に言及した」という趣旨の証言を確保した。イ前司令官は20~40分後にも改めてチョ団長に空包の準備を指示したという。このことについてイ前司令官は「正確な記憶がない」という趣旨の供述を検察におこなったという。
また検察は、チョ団長から「イ前司令官に『国会本庁に入って国会議員を引きずり出せ』と指示された」との趣旨の証言も確保した。イ前長官の指示を受けたチョ団長は「ひとまず分かった」と答えたが、共に出動した人員に特に指示はしなかったという。その後、チョ団長はイ前司令官に電話をかけ、「(国会議員を引きずり出すのは)単独でできる作戦ではない」として、「(特殊戦司令部が国会本庁に入ったから)特殊戦司令官と話をしてみてほしい」と提案したという。その後、チョ団長はイ前司令官から「すでに特殊戦司令官が国会に入ったから、外部から支援せよ」という指示を受けたと検察に証言したという。
検察は、「国会議員を引きずり出せ」というイ前司令官の指示は、そもそも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領から発せられたと判断した。尹大統領の起訴状によると検察は、尹大統領が非常戒厳時にイ前司令官に「4人で1人ずつ連れて出てこい」、「ドアを壊してでも連れて出てこい」などの指示を下していたと結論付けている。イ前司令官も検察による取り調べの際には、「尹大統領から『ドアを壊して連れて出てこい』と指示された。その対象は国会議員だと思った」という趣旨の供述をおこなってもいる。
しかしイ前司令官は、尹大統領の弾劾審判でこれらに関する証言を拒否した。イ前司令官は「国会本庁内部に入って国会議員を外部に引きずり出せとチョ団長に指示したのか」と請求人側の代理人団に問われ、「回答しない」と述べている。
チョ団長は、13日に行われる尹大統領の弾劾審判の第8回弁論に証人として出廷する予定だ。