代表的な「龍山(ヨンサン=大統領室)出身の親尹錫悦派警察官僚」で、内乱関与の疑惑が持たれている行政安全部のパク・ヒョンス警察局長が7日、ソウル警察庁長職務代理に任命された。先に治安正監(警視総監、警視監に相当)への昇進が内定した際、すでに不適切だという批判を浴びていたにもかかわらず、人事権者であるチェ・サンモク大統領権限代行は任命を強行したのだ。法に規定された義務である憲法裁判官の任命は言い訳をして先送りしておきながら、内乱の疑いで捜査を受けるべき人物を「警察序列第2位」のポストにあえて据えたのはなぜなのか。問わざるをえない。
12・3戒厳宣布の直後、行政安全部のパク・ヒョンス警察局長はチョ・ジホ警察庁長と2回、国会を封鎖したイム・ジョンジュ警察庁警備局長とは2回通話しており、国会による戒厳解除決議後にもチョ・ジホ庁長およびイ・サンミン行政安全部長官とそれぞれ通話していた。防諜司令部から逮捕支援が要請されていた永登浦(ヨンドゥンポ)警察署長にも自ら電話をかけていた。パク局長とイム・ジョンジュ警備局長の2度目の通話(12月3日午後11時35分)直後の11時37分には、警察が国会を全面封鎖していたことが明らかになっている。戒厳当日にパク局長がどのような役割を果たしたのかを明らかにすることは、警察と行政安全部の内乱加担行為を究明する捜査の重大な軸のひとつだ(ここまでのこの段落の役職名はいずれも当時のもの)。パク・ヒョンス庁長は昇進対象ではなく、明白な捜査対象だ。
にもかかわらずチェ代行が今回の人事を強行したのは、自らを含む国務委員の内乱容疑の捜査に影響力を行使することを意図したものと解釈せざるを得ない。チェ代行は「現在、治安の空白だけでなく、年末年始の人事が行われてこそ国政が安定するため、政務職の人事でない場合は私が行う」と語ったというが、国政の安定を本当に望むのなら、法的な義務である憲法裁判官の任命をまず行うべきなのではないか。チェ代行本人を含めて多くの高位職が代行体制で回っている今、なぜあえて緊要でもない警察の高位職人事を強行したのか。
警察の内部では、今回の人事はパク庁長とキム・ジュヒョン大統領室民情首席の共作だということが、公然と語られているという。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の発足後に3階級(警務官-治安監-治安正監)も昇進したパク庁長の他にも、急速に出世した「親尹警察官僚」が今回の人事で数多く昇進しているが、早期大統領選挙を前に警察を掌握しようという尹大統領の意向が反映された「獄中人事」だとの解釈だ。
「内乱捜査の妨害」であろうが「早期大統領選挙対策」であろうが、中身の見え透いている「隠し玉」人事であるということに変わりはない。その最終責任者がチェ・サンモク権限代行だということにも変わりはない。