12・3内乱での戒厳軍による中央選挙管理委員会庁舎への侵入の目的は、「第22代総選挙は不正選挙だった」とする陰謀論にもとづいた統合選挙人名簿の奪取だったとみられるという主張があがっている。
国会行政安全委員会(行安委)に所属する共に民主党、祖国革新党、基本所得党の議員団は6日、国会ロテンダホールで緊急記者会見を行い、「選挙管理委員会の内外の防犯カメラ(CCTV)の映像を確認したところ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳は不正選挙陰謀論者たちの主張に沿って緻密に企画され実行されたものだったと推定される手がかりが発見された」と明らかにした。
彼らは「非常戒厳が宣布された際、戒厳軍は京畿道果川(クァチョン)の中央選挙管理委員会に侵入し、選挙システムの要である統合選挙人名簿システムのサーバを撮影した」として、「戒厳軍の選管委掌握の目的は、選管委の電算サーバだったとみられる」と指摘した。
選管委のCCTVの映像を見ると、選管委に侵入した戒厳軍の10人の兵士のうちの6人が、直ちに選管委2階の電算室に入り、うち3~4人は電算室に30分以上とどまって何かを探すような行動を取っており、その間に写真を3回撮影している。撮影された時刻と被写体は、午後10時43分に統合名簿システムのサーバ▽午後10時45分に保安装備が構築されたコンテナC列サーバ▽午後11時45分に統合ストレージサーバだった。統合名簿システムは選挙時に事前投票名簿を管理するシステムだ。
CCTVの映像を見ると、兵士たちは主にサーバなどにつながれた配線装置を集中的に撮影しているが、これはサーバ奪取後に組み立て直すことが目的だったと推定される。戒厳軍が実際にサーバを奪えなかったのは、尹大統領による非常戒厳宣布から150分あまりで国会が非常戒厳解除要求決議をあげ、時間が足りなかったためだとみられる。
行安委の野党3党の議員団は、「戒厳軍がなぜこのようなサーバの写真を撮影したのか、選管委も分からないと答えている」とし、「選挙システムの要である統合選挙人名簿の戒厳軍による撮影は、誰が見ても非常識な行動であり、長く極右保守陰謀論者たちが主張してきた『第22代総選挙は不正選挙だった』という詭弁を思い浮かべるのは無理なことではない」と主張した。また、電算室内を見て回る兵士が誰かと通話し続けているシーンを見れば「このような疑いはさらに深まる」として、「この通話は戒厳軍の選管侵奪目的を立証しうる重要な場面であり、必ず捜査を通じて真実を明らかにしなければならない」と述べた。
彼らはまた、戒厳軍の侵入時刻は選管委の外郭に設置されているCCTVの映像を根拠に午後10時33分だったとされていたが、内部のCCTVで確認された電算室への侵入時刻は午後10時31分だったことが確認されたと付け加えた。彼らは「電算室への侵入を基準にしても、大統領による戒厳宣言発表の終了(午後10時29分)からわずか2分で、戒厳軍は選管委の電算室の位置する2階に侵入している」とし、「事実上、戒厳宣言以前から選管委への侵入を準備していたことを示すものであり、戒厳宣言が特別な目的を持って事前に計画されていたことを確認しうる部分」だと指摘した。
民主党のユン・ゴニョン議員(行安委の野党幹事)は取材陣に、「写真を撮ったり、電話したり、電算室に直行したりしたのには、確実な意図があった」とし、「選管委は内部と外部のCCTV映像をすべて提出したというが、信頼できない。さらなる調査が必要だ」と述べた。