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尹大統領の「野党警告のための戒厳」主張に…軍事専門家「一言で言って当惑」

登録:2024-12-06 08:08 修正:2024-12-06 08:59
尹錫悦大統領が3日夜、非常戒厳を宣布している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と与党関係者は、3日夜の非常戒厳宣布は立法と弾劾で国政をまひさせる野党の暴走に対する「警告のための戒厳」だったと主張している。しかし、このような主張そのものが荒唐無稽な詭弁(きべん)であることは、非常戒厳宣布直後に展開された状況だけをみても分かる。国会や中央選挙管理委員会などへの軍の兵力の侵入を指示したキム・ヨンヒョン前国防部長官のインタビューは、兵力投入の目的が「不正選挙捜査」と「戒厳解除要求決議阻止」だったことを示しているからだ。戒厳業務に精通する軍事専門家も、「警告のための戒厳」だったとの与党の主張は憲法と戒厳法から逸脱しており、実際の戒厳業務とも合わない荒唐無稽な主張だと批判する。

 尹大統領は4日、ソウル龍山(ヨンサン)で行われた緊急の政府与党大統領会合で、ハン・ドクス首相と与党の指導部および重鎮に対し、非常戒厳宣布は「野党の暴挙に対する警告のための措置」だったと正当性を強調した。国民の力のキム・ミンジョン最高委員は5日、これに同調しつつ「共に民主党がどれほど非道なのか国民に伝わらなかったため戒厳が発生した」と述べた。

戒厳司令官を務めたパク・アンス陸軍参謀総長が5日、ソウル汝矣島で行われた国会国防委員会全体会議に出席し、議員の質問を聞いている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 だが、戒厳宣布直後に実際に展開された状況は、「警告のため」だったという彼らの説明とはまったく合致しない。戒厳軍は国会より1時間先に京畿道果川(クァチョン)の中央選挙管理委員会に投入されているが、兵力の規模は国会より多い297人だった。投入の目的についてキム・ヨンヒョン前長官は5日のSBSとのメッセンジャーによるインタビューで、「選管委の不正選挙疑惑についての捜査の必要性を判断するため」だったと語った。これも「野党に警告するため」という与党の主張と食い違う。

 キム前長官は、国会への兵力投入についても「戒厳解除決議を防ぐためのもの」だったと述べた。4日未明に尹大統領が非常戒厳令を解除した直後にキム前長官がおこなったという、国防部関係者に対する「衆寡不敵(敵の数に対して味方が少なく勝ち目がないこと)だった。ご苦労だった」という発言も、「警告のため」だったとすれば、飛び出すわけがない。国会に投入された鎮圧兵の証言も同じだ。この日、JTBCが報道した、国会に投入された戒厳軍のインタビューは、国会到着後に下された命令が「国会議員を全員引きずり出せ」というものだったことを示している。

 野党に警告するために非常戒厳を宣布したという尹大統領の主張は、戒厳宣布要件を明示した憲法の条項にも反する。憲法第77条は「大統領は戦時・事変またはそれに準ずる国家非常事態に、法律が定めるところに則り、戒厳を宣布することができる」と規定している。戒厳業務を担当したことのある予備役大佐は、「野党に警告するために非常戒厳を宣布したという主張は法理に合わず、現実ともかけ離れた、一言で言って荒唐無稽な話」だと語った。非常戒厳は、国家の危機状況に軍が前面に立って対応するという、一種の最後の劇薬処方だ。そのため戒厳宣布の頻度は、国際社会においては民主主義成熟の尺度と考えられており、「野党に警告するため」に非常戒厳を宣布したという発想そのものが奇想天外だというのだ。

 「警告のため」だったとする主張が事実だとしても問題だ。民主党のパク・チウォン議員はこの日のSNSへの投稿で、「野党の暴挙を知らしめるために非常戒厳を宣布した」という尹大統領と与党関係者の主張について、「それこそまさに独裁」だと批判した。パク議員は「非常戒厳令を野党に対する脅し、国民脅迫用に使ったということか」とし、「大韓民国の軍隊、警察、安保は大統領個人の腹いせの手段か」と批判した。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1171241.html韓国語原文入力:2024-12-05 22:35
訳D.K

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