米国の原子力企業ウェスティングハウスが、韓国のチェコでの原発受注は自社の知的財産権を侵害した事案だとして米国内で訴訟を起こしたのに続き、チェコの反独占規制機関にも陳情した。来年3月の本契約前にこの問題が解決されるかどうか注目される。
ウェスティングハウスは26日(現地時間)、チェコの反独占規制機関に陳情を行い、「韓国水力原子力(韓水原)が(チェコに建設しようとしている)原子炉『APR-1000』の源泉技術の知的財産権はウェスティングハウスにあり、自社の許可なしに第三者にその技術を移転することはできない」とし、その理由を明らかにした。
その後、チェコ電力公社(CEZ)が「入札に参加して落選したウェスティングハウスには、異議を申し立てる資格はない」と明言したと報じられたが、すでに米国でも関連訴訟を進めているなど、ウェスティングハウスの知的財産権の主張は今後も続く見通しだ。27日にはAFP通信などが、「チェコの反独占規制機関が、ウェスティングハウスだけでなく(韓水原と最終優先交渉対象の候補として競った)フランスのEDFも入札手続きに反対する陳情を出した」と報じた。
ウェスティングハウスは2022年10月から、韓水原の原発輸出は米国の輸出統制規定の適用を受けなければならないという趣旨のもと、米国で訴訟を進行中だ。1978年に結成された原子力供給国グループ(NSG)の指針に従い、韓水原は原発技術を海外に輸出する際には米国政府の許可を受けなければならない。韓水原に技術を移転したウェスティングハウスが申告の主体だが、まだその申告も行っていない状況だ。
韓国の原子炉「APR-1000」と「APR-1400」の技術は、ウェスティングハウスが特許権を保有する「システム80+」の技術に基づく。韓国の唯一の原発輸出実績である2009年のアラブ首長国連邦バラカ原発受注の際には、韓国電力がウェスティングハウスに技術諮問料を支払い、発電機タービンなど主要設備の注文を任せる形で合意がなされた。
しかし、今回のチェコ原発の輸出では、韓水原とウェスティングハウスは技術移転の合意に至らなかった。韓国の原子力業界では、ウェスティングハウスが韓国の原発産業を牽制し、受注過程でロイヤリティーの条件を有利にするために「嫌がらせ」をしているという主張が出ている。
問題は、このような紛争を解決できないまま受注戦に突入したことが、最終交渉の悪材料になりうるということだ。わずか1年前の昨年4月末、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が米国を国賓訪問した際、韓米首脳は共同声明を通じて「両国は原発分野について知的財産権を尊重する」との内容で合意した。
当時、韓水原がポーランドに原発輸出を推進する過程で、ウェスティングハウスが知的財産権違反の訴訟を起こした状況だったため、この文言は韓国の知的財産権の違反行為を阻止しようとする目的だとも言われていた。
昨年6月にはウェスティングハウスが訪韓し、韓水原と知的財産権関連の協議を進めたが、韓水原がロイヤリティーの支払いや原発建設の一定部分を任せる下請け方式での協力などのウェスティングハウスからの要求を受け入れられず、合意に至らなかったと報じられた。ウェスティングハウスはその後、10月に米国で韓水原を相手取って知的財産権関連の訴訟を始めた。
エネルギー転換フォーラムのソク・クァンフン専門委員は「韓水原が知的財産権のリスクを最後まで解決できない場合は、チェコ政府も工事中断になりうる韓国の原発建設を承認する可能性は低い」と予想した。
「原子力安全と未来」のイ・ジョンユン代表は「米国の立場としては、自国の原発技術を模倣して他国に移転しようとする韓国の行為を容認することは、米連邦規定集810(原子力技術移転時の米エネルギー省許可規定)に反する決定になりうる」として、「数年前に始まった知的財産権に関する紛争を解決できないまま受注戦に突入した手続き的な問題に対する徹底した実状調査が必要だ」と指摘した。