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韓水原、2兆7000億円のチェコ原発建設の優先交渉者に…「ダンピング」批判も

登録:2024-07-18 07:09 修正:2024-07-18 09:56
大統領室「UAE原発受注以来15年ぶりの快挙」 
来年3月の最終契約後は2036年の稼動目標に工事 
仏ライバル社の建設費の半額以下…現地メディア「ダンピング」
チェコのドコバニ原発の冷却塔から水蒸気が立ちのぼっている=韓国水力原子力提供//ハンギョレ新聞社

 韓国水力原子力が、チェコに1千メガワット(MW)級の大規模原発を建設する事業の優先交渉者に選定された。大統領室は優先交渉者への選定について、「2009年のアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発受注以来15年ぶりの快挙」だと評価した。しかし一部からは、原発受注の条件として「ダンピング」(生産コストより低い価格)水準の低価格を提示したうえ、現地の建設人材の優先採用および金融支援を約束しているため、経済性がないとも指摘されている。

 チェコ政府は17日、チェコのドコバニ地域に1千メガワット級の新規の大規模原発を2基建設する事業の優先交渉者に韓水原が選定されたと発表した。チェコのペトル・フィアラ首相は、「韓水原の入札条件はすべての基準においてフランス電力公社(EDF)より良い」、「2基の建設で予想される事業費は約4000億コルナ(約2兆7000億円)であり、韓水原との最終契約金額は今後の交渉で決める計画」だと語った。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「今回の優先交渉対象者選定で世界最高の大韓民国原発産業の競争力が世界市場で改めて認められた」とし、「チームコリア精神で最終契約に向けて最善を尽くしてほしい」と述べた。ソン・テユン政策室長が語った。

 チェコ環境省は、2033年までに石炭発電を廃止するため、原発の建設を推進している。現在、チェコのドコバニとテメリン地域に大規模原発をそれぞれ2基(計4基)建設する事業が確定しているが、テメリン地域の発注先の決定は今後になる予定だ。ドコバニ原発は、交渉を経て来年3月ごろに最終契約を結び、2036年の商業稼動を目標に工事に入る計画だ。

 チェコの現地メディアは、韓国の原発建設単価がフランスより安いこと、決まった予算内で適切な時期に施工することを約束したことが高く評価されたと伝えた。韓国が原発建設にかける1キロワット(kWe)当たりの建設費は3400ドルで、フランスの7500ドルの半額以下だ。さらに、尹錫悦大統領は今月10日に米国で行われた北大西洋条約機構(NATO)の会議でチェコのパベル大統領と会談し、輸出入銀行による原発建設への金融支援を約束している。現地メディア「エコノミツキ・デニク」は、韓水原はフランスとの受注戦で勝利するために「ほぼダンピング価格で『拒絶できない提案』」をおこなったうえ、「建設作業にチェコと欧州の労働者を優先的にかかわらせる」ことを約束したと伝えた。

 今回のチェコでの原発建設には韓国電力技術(設計)、斗山エナビリティ(主機器、施工)、大宇建設(施工)、韓電原子力燃料(核燃料)、韓電KPS(試運転、整備)などが参加する。韓水原は今回の原発建設の優先交渉者に選ばれたものの、最終契約までに建設コストや人材などの細部条件を調整するという重要な手続きが残っている。

 東国大学エネルギー・電気工学科のパク・チョンウン教授は、「表面上は原発2基の工事費が24兆ウォンだとしても、現地でかかる人件費や現地の参加企業の取り分などを除けば、韓国側に回ってくる工事費はかなり減るだろう」とし、「韓国が金融支援のような水面下のインセンティブを提供することや、長期建設事業のリスクが10年以上続くことまで考慮すると、実際の利益は大きくない可能性がある」と語った。

オク・キウォン、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1149566.html韓国語原文入力:2024-07-17 21:08
訳D.K

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